101匹足利尊氏 さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
うさぎ山商店街に訪れる春
構図自体はよくある幼馴染みの初恋物。
ただ本作のTVアニメ版で1クールかけて熟成された学校や商店街の、
人情味溢れる人間関係の中に投げ入れられた初恋物語は、暖かな春の温もり。
青春の恋は時にスキャンダルとみなされ、大人社会と反目し、
痛々しさもまた青春さwと逸脱を正当化しますがw
本作の恋愛は町全体に育まれていく優しさを感じます。
たまこ、今にもむけそうです♪
昔ながらの近所付き合いが色濃く残るこの商店街では、
誰もが心の窓を開け放ち、プライバシーを街中に漏出させています。
{netabare} 銭湯の壁すら声を遮りませんwあの娘の会話も男湯にだだ漏れですw{/netabare}
男女間に色恋沙汰があれば、ご近所にも波紋のように広がって、
住民は意識的、無意識的に二人の青春の行方を左右します。
直接的な助言などなくても、
例えば{netabare} 商品と一緒に商店街に仲睦まじい夫婦関係などを陳列しておくだけで、
揺れ動く乙女心に思いがけず有益な示唆を与えたりするものなのです。{/netabare}
見ていて、ふと最近、
都内にて、近所の老人が子供に挨拶しただけで警察に職務質問された。
というニュースを思い出しました。
リアル人間関係が切断された社会で、防音完備の堅牢な個室に籠もり、
SNSのフィルターバブル内で想定されたコミュニケーションと情報収集を繰り返す……。
こうした世界では本作のような恋の育まれ方はまずないのだろうなと思ってみたり……。
一つの恋で街中が淡く色付く……。
まるで晴れた日に桜の木の下で頂く番茶のように、
ホッとできる良作青春映画でした♪