どらむろ さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
不死身剣士の変則的な剣客バトル!復讐劇よりも、求道者的な敵に独特な魅力あり。
月刊アフタヌーンの漫画原作の、時代劇剣客バトルです。全13話。
不老不死の不死身の剣士・万次(まんじ)が、両親を殺された剣道道場の娘・凛(りん)の用心棒として、凛の仇の剣客集団・逸刀流(いっとうりゅう)の剣客たちとバトルしていく…
主人公が不死身なのと、双方の武器が独特で変則的な殺陣が特徴。
復讐劇で重めの問題提起もありますが、万次と凛の道中でのコミカルなやりとりや、バトルだけでも面白いです。
…流血シーン多く、グロ注意。
※4月29日に実写映画公開されるとの由。
{netabare}『物語』
時代劇というよりも、劇画バトルでしょうか。ニンジャではないけれど、双方戦い方が劇画の忍者っぽい。
メインテーマは、万次の不老不死ゆえの苦悩と、凛の復讐劇に対する葛藤の二本を軸に、敵の剣客たち(根っからの邪悪というよりも、各々の生き方貫いている求道者というか変態多い)とのバトル含めた交流を通して描いていく感じ。
大人な万次と、子供で背伸びしている凛の、道中での関係性、特に凛の万次に対する想いも見所でした。
ラブコメとは違うけれど、微笑ましい。
全般に血生臭く重い復讐劇の割には、道中記は結構明るいのが良かった。
…本作の一番の見所は復讐劇よりも、バトルでした。
使う武器や技が変則的で、攻防見ているだけで手に汗握るシーン多いです。
万次は不死身なので、割と気楽(メタ的)に瀕死のダメージ受ける(けど不死身だから平気!)それがバトルの面白味損なうどころが逆にトンデモバトルをガンガン見せてくれる。
万次は決して弱くはないが、敵はもっと手練ればかり。
一芸を極めた変則的な技の数々、どのバトルも目が離せない。
死なない万次はちとずるい気もしないではないけれど…。
直接戦闘だけでなく、百琳姐さんの体を張ったお色気毒殺作戦で格上の剣客アッサリ倒されたり、戦闘力だけではない強さ「バジリスク甲賀忍法帖」っぽい。
復讐劇としては、敵の逸刀流が憎たらしい邪悪というより武芸者として道を極めんとする求道者であり、独特な人生観や生き様を貫いている「変態」ばかりなので、王道的な勧善懲悪のカタルシスはあまり無い。
凛も憎しみ一辺倒ではなく、年相応の少女らしい葛藤で揺れる、復讐の意味や生き方辺りを考えさせられる展開になっていった印象。
憎しみの連鎖の哀しさ愚かしさを描きつつ、でもだからといって復讐止めていいのか?
復讐を全肯定する素直なストーリーではないけれど、一方で万次から「お前の両親への想いはその程度か」的な言葉や、仇の息子の復讐心を目の当たりにしたり、復讐はダメ!ともならない、一筋縄ではいかない人の業…
諸行無常、因果応報…
…物語が途上で終わっているのが残念。
ふたりの旅はまだ続く…。
総じて…
復讐劇としてはあまりスッキリしないです。でも深みはある。
道中記と変則バトルの方が面白かったです。
『作画』
時代劇調ながらキャラデザ良いです。
背景も含めて時代劇の雰囲気良かった。
バトルシーンは凄い!とまではいかずとも、変則的な攻防が見応えあり。
色彩はやや暗め、グロもあるのも含めて良い感じ。
『声優』
関智一ボイスかっこいい。
佐藤利奈さんの気丈さと少女らしさ併せ持つ感じも。
全般に渋いんですが、川上新夜の浪川大輔さんの柔和な狂気がはまり役でした。
『音楽』
主題歌は雰囲気に合っていたような。
剣劇の効果音も中々。
『キャラ』
万次は飄々とした大人の男、凄惨な人斬りの顔と、凛に対する不器用さやだらしなさのギャップが良かった。
ただ、主人公というよりも、凛のサポート役な印象。
…不死身の原理がバジリスクの天膳殿っぽい。
万次殿がまた死んでおるぞー!
凛ちゃんの方が主人公していた。
復讐者としては弱く、信念が中々定まらぬ迷いも含めての魅力。
しっかり者で万次さんの女房役、仄かな恋心も可愛い。
…なんとなくこのふたりの関係「ガンソード」のヴァンとウェンディちゃんと似ている。
(無限の住人の方が連載早い)
敵は外道ではあるんですが、自分なりの信念貫く変態多い。
黒衣鯖人が一番キモかった!
川上新夜は良き父親な一面と、捨てられぬ修羅の狂気併せ持つ、面白い敵であった。
絵師の宗理は狂人だが人生楽しんでいて本作で一番好き。
万次を圧倒した槇絵さん強い。メンタル弱いところも可愛い、凛に次ぐヒロインタイプ。{/netabare}