「ドリフターズ(TVアニメ動画)」

総合得点
72.5
感想・評価
578
棚に入れた
2889
ランキング
1140
★★★★☆ 3.8 (578)
物語
3.8
作画
3.7
声優
3.8
音楽
3.6
キャラ
3.9

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ネタバレ

蒼い✨️ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

ヒラコー流『聖杯戦争』

アニメーション制作:フッズエンタテインメント
2016年10月 - 12月に放映された全12話のTVアニメ。
原作は平野耕太による『ヤングキングアワーズ』で連載中の漫画作品です。

【概要/あらすじ】

慶長5年9月15日(西暦1600年10月21日)
関ヶ原の戦いは小早川秀秋の裏切りで西軍は総崩れとなり、
徳川家康率いる東軍の勝利が決定的となった。
敗走する西軍の諸軍勢。逃げ場に窮した島津義弘率いる島津軍残存兵300は、
活路を求めて敵中突破をかけた。
(島津義弘 … 薩摩の戦国大名・島津家の第17代当主で“鬼島津”の異名で知られる名将)
世にいう“島津の退き口”である。

追撃するのは、徳川四天王“井伊の赤鬼”井伊直政。

「捨て奸(すてがまり)」
… 本隊を逃げ切らせるために寡兵で命尽きるまで戦い敵を足止めするという、
  島津家が用いた玉砕戦法である。

井伊直政に立ち向かったのは、義弘の甥・島津豊久(30)この作品の主人公である。
付き従う将兵が次々と斃れ自身も井伊の赤備えの槍衾でボロボロになりながらも、直政に重傷を負わせた豊久。
史実では、義弘を救ったこの戦で討ち死にしたと伝えられる豊久ではあるが、
血まみれで森を彷徨っているうちに、通路にも似たふしぎな場所にたどり着いてしまう。
豊久は、そこにいた事務員のような金髪メガネの男によって異世界に送られる。
そこは、人間・エルフ・ドワーフ・獣人・ゴブリン・コボルト・オークなど様々な種族が棲息している世界だった。

古今東西、歴史に名を残し、その末路について死体が発見されていないなど曖昧な英雄や奇人は、
死の間際に異世界に召喚されて生きながらえて、「漂流者(ドリフターズ)」と呼ばれている。

それに対し、処刑されるなど非業の死を遂げた後に、
生者として召喚させられた歴史上の有名人は「廃棄物(エンズ)」という。
「漂流者」は人間そのものではあるが、「廃棄物」は超常の力を持っている。

島津豊久は異世界で“第六天魔王”織田信長、“源平の弓の名手”那須与一と出会う。
彼らは三人とも「漂流者」であり、異世界の人類に廃滅をもたらす「廃棄物」と戦わなければならないらしい。
「廃棄物」の指導者は、黒王と呼ばれる謎の人物である。
その正体は明らかではないが紀元前6年から紀元前4年頃に生まれた大工の息子かも知れない。

とりあえずは異世界で為すべきことを考えた結果、黒王の軍勢に対抗するべく、
信長の主導によって彼ら自身の目的“国盗り”に動き出したのだった。

【感想】

このアニメはOVA版『HELLSING』のスタッフをほぼそのまま引き継いでいますので、
『ドリフターズ』の映像化に関しては最強メンバーと言うべきでしょうね。

宗教からのクレーム?なにそれ?
チョビヒゲの独裁者上等!
大日本帝国軍人万歳!

軟弱なスタッフではタブー扱いして改変しかねない要素を、上からのゴーサインが出ていて、
原作漫画をそのままに特にいじらず無改変完全ノーカットでアニメ化しているのが凄いですね。
と思ったら、プロデューサーの一人が掲載誌の名物編集長である筆谷芳行氏なので納得。

尺とかテンポとか配慮を言い訳にして中身を原作から弄りまくっているアニメが多いなか、
ドリフターズは貴重な作品なのではないでしょうか?
まあ、イ○○ム関係をネタにするとガチで生命が危険ですので、
これだけは流石にヒラコーでも手出しできませんけどね。

シリアス・ギャグ両方にヒラコー節満載の完全再現アニメですので、
原作ファンなら100点満点に近いと思います。
アニメから入った人からはギャグがうざいと思われていたりで、
好みに合う合わないで評価はかなり変わるでしょうけどね。
原作者・平野耕太が生粋のオタクであり、
自分が好きな描きたいものだけを描くという作風ですので、仕方がないことですけどね。

観た感じ、歴史の中で育まれた知恵と人の持つ勇気が世界を動かすという人間賛歌であり群像劇でもあり、
人間ってすげー!人間ってかっこいい!と思いたい人向けの内容ですね。
前作『HELLSING』の台詞、『化物を倒すのはいつだって人間だ。人間でなくては、いけないのだ!』
を体現している作品ですね。

それにしても島津家というか昔の薩摩の人間は、ネット民の間では戦闘民族として名高いですね。

二の太刀要らずの一撃必殺の刀剣術。
野良犬をひっ捕まえて、えのころ飯にして食す。
信義を絶対に守り豪胆でもある。
他人の生命にも自分の生命にも平等に軽い死生観。
めそめそするのは好かん。全力で突っ走って笑って前のめりに死ぬが本望。
戦キチガイではあるが単純バカではなく、島津家の家訓に基づいた行動原理。

「日新公いろは歌」
… 豊久の曾祖父で島津家中興の祖・島津日新斉(じっしんさい)忠良が残した47首の教え。
  薩摩藩の「郷中(ごちゅう)教育」の基本の精神となったと言われています。
これを体現した男が島津豊久であり、痛快にまで単純明快で痛快までに雄々しい快男児。

織田信長。信長研究が流布して、いろんなエピソードが広まっていますね。
『信長の忍び』『信長のシェフ』と同じく史実エピソードから多く拾っているものの、
性格の味付けは現代人っぽいヒラコー流。
しかしながら、新しいもの好きで理解力が優れている天才で合理主義者という、
外しちゃいけない部分をしっかり拾っているのが素晴らしいですね。

与一や他の「漂流者」敵側の「廃棄物」もひとりひとりがキャラ立ちしていますね。

さて、このアニメは物語の途中、中途半端なところで1期が終了しています。
原作者の筆が遅い(1年間で160頁ペース)こともあり、
5年間描いてやっと1クール分の原作のストックが出来るといいます。
2期は2020年頃になりますね。

個人的には原作の良さを最大限に活かしたアニメだとは思いますが、
完全に原作ファン向け、気長についていける人だけついていけばいい!
という風にも感じられました。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2017/03/04
閲覧 : 336
サンキュー:

38

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