「劇場版 ソードアート・オンライン オーディナル・スケール(アニメ映画)」

総合得点
91.5
感想・評価
1164
棚に入れた
7178
ランキング
32
★★★★★ 4.1 (1164)
物語
4.0
作画
4.3
声優
4.1
音楽
4.1
キャラ
4.1

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ネタバレ

どらむろ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

SAOの総決算にして発展形!ファン必見、TV本編も再評価したくなる素晴らしさ。

ゲームの仮想現実を題材にした、大ヒットライトノベルの劇場版です。約120分。
TV版1期2期(4クール)が仮想現実の物語なのに対し、劇場版は拡張現実を舞台に「仮想現実のゲームで死ねば現実でも死ぬ」かつてのSAO事件の惨禍と想いが引き継がれていく…

圧倒的大迫力のボス戦!拡張現実のSF設定!キリトはじめオールスターで大活躍!
これは満点に近い内容じゃなかろうか。圧倒的に素晴らしいです。
(偏見や狭い認識がいかに目を曇らせるか…刮目せよ。我ながら再度認識を改めた)

{netabare}『物語』
ゲームの中の仮想現実に入るゲーム機器ナーヴギア(TV版の主要設定)が廃れ、AR(拡張現実。意識全てをゲーム内に入れるのではなく、現実の方を拡張する)を用いたゲーム「オーグマー」が流行っていた。
いま一つ流行に乗り切れないキリト、満喫するアスナや仲間たち…
ARの人工知能アイドル「ユナ」の存在や、大迫力のオーグマーボス戦で盛り上がりつつ…少しずつ不穏な陰謀が進行していく…。

今更ながら、本作の魅力はSF作品としての世界観にあると思いました。
拡張現実は我々の世界でも現在進行形で発展しつつある近未来技術、そんな未来の在り方の一端を見せてくれるのはワクワクする。
「電脳コイル」のウェアラブル機器「電脳メガネ」や、「人類は衰退しました」のアニメ未登場話など、拡張現実のSFからのファンタスティックな世界観は惹かれるものがありますが、本作もヒケを取らんです。
電脳アイドルは「マクロスプラス」(1994年)のシャロン・アップルを彷彿とさせますし、2007年登場のボーカロイド「初音ミク」のブレイクから、2017年で10周年、その存在感はいまなお衰えない。
本作はこうした系譜の上で、拡張現実や人工知能を扱ったSF(を極めたファンタジー)として十分な魅力あり。

…地味だけど注目シーン。
アスナ、リズ、シリカの女子組がケーキ頼んだ際、自動的に好みの品出してくれたのは、ARを通じて個人データ分析されていたから…とか、現実のネット検索やネットショッピングでも既にある話で、便利な一方で少し不気味さを感じたり。
「近未来に起こり得る未来技術の光と影」
ソードアートオンラインという作品は、一貫してそれがテーマの一つなのでは。

オーグマーに熱中する(キリト以外の)ゲーマーたち。
現れる謎めいたARアイドル「ユナ」の歌声をバックに、現実の街がゲーム世界の戦場となる!
このボス戦闘が凄まじいです。
これを何度も繰り返す…マンネリ…には、ならない所が凄い。
キリトは中盤まで精彩を欠き、代わりにアスナやクラインたちが大活躍するのもグッド。

安全なゲームと思われていたが実は…本作シリーズのお約束ですな。
キリト孤軍奮闘で少しずつARの歌姫ユナそしてオーグマーに秘められた危険な陰謀に立ち向かっていく流れ、サスペンス要素もありつつ、ボス戦連打含めて目が離せず。
今回の敵はSAO時代の闇関連で、改めて総括する意味でも見応えありました。
キリトとアスナが終始ベストカップルなのも素晴らしい。

ラストバトルも圧倒的、既に十分凄かった多数のボス戦闘すらも前座に過ぎなかった!
相変わらず「ゲームで死んだら現実でも死ぬ」設定が上手い。
鬼気迫るキリトの無双にモブ「ゲームに何ムキに…」いやお前は知らんだろうけど、遊びじゃないんだよ、負けたらマジで死ぬから!
孤軍奮闘するキリトの危機に、トラウマを克服したアスナ颯爽と登場、その他オールスターが立ち向かう王道!
ここからは一瞬たりとも瞬きすら出来ぬ激闘の連続!
…最大の見せ場はアスナ最後の一撃マザーズロザリオに、かつて心通わせた親友のユウキの想いが乗せられるシーン。
涙で画面が見えなかったです…。
刹那の一撃に、マザーズロザリオ編(TV版2期の終盤)で結ばれたアスナとユウキの友情全てが込められている、これは圧巻でした。
劇場版も前半はキリトよりアスナ主人公でしっかりと成長が描かれていたのが効いているからこその名場面でしょう。

事件の幕引きも、切なさと未来への希望そして続編への予感を感じさせ、文句なし。
強いて難を言えば、ゲストヒロイン・ユナとキリトの交流はやや薄かったかも。
生前SAO時代のユナとエイジの出逢いの物語が良かったので、ここも泣きどころでした。

総じて…ソードアートオンラインという作品の魅力ほぼ完璧でした。
これは素晴らしい。
この劇場版を観た今、TV版観返したら、見方が変わりそうです。


『作画』
ボス戦闘が圧倒的でした。息つく暇もない圧巻の臨場感!
キャラデザも文句なし、これは5点満点で遜色なし。


『声優』
ゲストヒロイン・ユナ役の神田沙也加さん、敵役エイジの井上芳雄さんは本職声優ではないものの、はまり役でした。
神田さんは半ばAIらしい無機質と感情の揺れが出ていたし歌も素晴らしい。
井上さんも、肥大した自我と裏腹の劣等感や焦りが声の震えで分かるなど、上手かった。
鹿賀丈史さんも深みあり。
松岡禎丞さん初めお馴染みの配役も流石。


『音楽』
ボス戦の音響が大迫力。
ユナ(神田沙也加)さんの歌も大いに盛り上がった。
…シリカ(日高里菜)さんのカラオケも良い♪


『キャラ』
…誰だ、キリトさんを俺強え系だのハーレム王だの的外れな事言ってるのは…
全然違うじゃあないですか。
徹頭徹尾、嫁のアスナ一筋なナイスガイですよ。
後半は流石の無敵っぷりだけど、死に物狂いの覚悟で戦うヒーローが強いのは(物語として)当然だと思う。
そこに理屈、リアリティー(笑)なんぞ無粋の極みッ!
それがダメって人は…創作物そのものを否定するようなもんだと思う。
愛するアスナの為、皆の命を救う為に戦う主人公が無双して何が悪いか!
(押井守監督よりも、宮崎駿監督の価値観の方が好き派。ヒロイン抱いて飛び降りる主人公なら怪我せず無双するべき)
…何故キリトが人気なのか、本作で(今更ながら)思い知りました。
強いて、強いて粗を探すならば…もっと仲間を頼っても良かったような。
まあ、仲間を危険に晒したくないから孤独に戦うところもまたヒーローの所以なんでしょうけれど。

アスナもまたヒロインの理想形。可愛い上に奥ゆかしい。
前半はキリトより目立って大活躍、囚われ(記憶だけど)のヒロイン属性、そして最終的にはキリトと肩を並べる強さ!
キリトには無い、アスナだけの絆の力(ユウキとの友情)があり、キリトにヒケを取らぬ魅力あり。

リズ、シリカ、シノン、直葉、ユイも可愛さバツグン、特にユイちゃんは頼れますねぇこんな可愛く有能な電子の妖精にパパってキリトさん羨ましい。
直葉ちゃんはやや出番少なかった残念。
クラインやエギルその他男性陣の見せ場も十分、これらは間接的に、キリト単騎の無双にさせない点でも良かったです。
TV版2期のキャラたちにも見せ場良かった。

ユナはミステリアスな魅力はあったんですが、キリトとの関わりはいま一つ。
ユナよりも生前の歌姫の頃が可愛い。良い娘さんだなぁ…切ない。
重村教授やエイジも真のゲスではない(やろうとした事はとんでもないが)のも良い感じ。
…エイジ、私は少し共感出来て好きです。確かに小物なんですが、カッコ良くは無いですが。
誰しも英雄ではないし、臆病な者もいる。
好きな人を守れなかった悔しさ、鬱屈した思い、強大な力を得て増長する気持ちすらも、分かる。
ソードアートオンラインという物語において、名も無きモブ、弱き弱者。
けれど、おそらく視聴者(読者)の多くは英雄ではないし、エイジ寄りなのでは。
弱者として(調子に乗っちゃったけれど)愛する人の為に頑張った彼を、私は好きです。


そして忘れてはいけない、ユウキですよ…
仮想現実で結ばれた想いは今でもアスナの胸に生きている。
MVPなゲストヒロインは彼女じゃなかろうか。{/netabare}

投稿 : 2017/03/05
閲覧 : 316
サンキュー:

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