天水晶 さんの感想・評価
3.1
物語 : 1.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 2.0
状態:観終わった
残響のテロルはサヨク臭い
主人公は爆弾テロを起こしても人が死なないように計算しつくしているテロ犯という設定がまずおかしい。
最初の都庁ビルの爆破でも、直前に非常ベルが鳴るようにしたから問題ないとか、それで作中で一人も死者が出ないのはご都合主義すぎる。
日本が政府ぐるみで子どもたちに人体実験をしていたり、日本が秘密裏に原爆を製造していたという設定も、アメリカ政府が悪という設定も陳腐すぎる。
最後に主人公が高高度で原爆を爆発させるテロでは、日本中の全ての電子機器が破壊されるとしているのに、その結果に対する惨状にはほとんど触れず、警察側の事前予想として、飛行中の航空機が墜落する程度の被害予想しか発言していないのは想像力が貧弱すぎる。
信号が急に停止することによる交通事故や、入院患者の生命維持装置、原発の冷却装置が停止するかもしれないくらいは触れてほしかった。
つまるところ主人公は無差別大量殺人犯でしかないのに、その描写もなく、事件後のおおよその死傷者数には触れないまま。
エンディングでは、作中の新聞各社の見出しが、薬害エイズ訴訟の結果厚生省と日本政府が叩かれたときと同じような構図で、主人公がアメリカ軍に殺されるのを含め、最後まで可哀想なテロリスト、彼らは日本政府による犠牲者だったみたいな終わり方は、目的のためなら手段は選ばなくてもいいというテロ賛美にしか見えない。
日本政府とアメリカ政府を邪悪な存在として描き、テロリストを美化し賛美する内容は、学生運動が盛んだった頃のサヨクのプロパガンダかと思えるほど。
事実作中(8話)でも、原爆被爆二世の刑事が若い刑事との会話で、もしテロ犯のスピンクス(主人公達)が、自衛隊に石を投げる学生運動が盛んだった頃の日本に生きていたら、テロ犯ではなく別の名前で呼ばれていたかもしれないと、変な同情のしかたをしていた。
「やつらをヒーロー扱いする若い連中もいるみたいですよ。ただの犯罪者なのに。」
「昔、俺が若い頃は、十代のやつらが機動隊に石投げて国と戦ってた。今じゃテロリストと呼ばれるスピンクスも、時代が違えば別の名前で呼ばれていたかもしれん。」
残響のテロルという作品は、作者の懐古的な、当時の反体制サヨク学生運動の賛美を自己満足的に行ったものだと感じた。
あと、子どもたちの人体実験計画の名称は、ギリシア繋がりで考えればアテネ計画よりも、国家政策として遺伝的に優れた子ども以外は殺していた古代スパルタ国家にちなんでスパルタ計画とした方が相応しかったのにと個人的に思う。