めいろ* さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
決定権は、生きている者にある。
知る人ぞ知る名作、CANAANです。
僕の記憶が確かであれば、TYPE-MOONが制作したボーナスシナリオを元にしたゲーム原作だったと思います。
さて、本作品の舞台は中国の上海になります。
だからと言う訳では決してないですが、どことなく退廃的で常時緊迫した作品構成が視聴者を苦しめます。
もっと言うと、とても残虐性の高いストーリーで、人間性を欠いたサイコパス的なキャラクターも多く登場し、なんともミステリアスな作風のまま作品は進行していきます。
これも、だからと言う訳では決してないと思うのですが、数あるアニメーション作品の中でも本作品はその解釈が非常に難しいと言う点で、なかなか浸透しなかったのかなという印象を持たざるを得ません。
上海を舞台に共感覚という特殊な能力を持つ人間が多くを背景に戦い、儚くも朽ち果てていく。
今思うと、本当に哀しい戦いばかり、何故彼女達が。という想いでいっぱいです。
題名に回帰します。
「決定権は、生きている者にある。」
これは共感覚を持つ一人、ハッコーという女性の台詞です。
この一文だけでは、何だか死人を無常に切り捨て、生き残った人間を尊重するかのように思えてしまいますが、ここで言うこの台詞は、全く逆の意味です。
共感覚を持つ特殊な人間と、何の能力も持たない一般的な人間。
この両者が互いに惹かれ合ったとして、これが世界規模の理から相反すると定義付けられた場合、果たして僕らはどうするでしょう。
そんな世界なら、消えてなくなりたい。
彼女たちは、果たしてどうしたのでしょうね。