101匹足利尊氏 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
花より遺骨
原作小説は未読。
ホームズの頃からミステリーで推理をする人には割と変人が多いと思いますw
事件は大概、常識の裏をかくため、
謎を追う側も非常識な一面を持って鍵をこじ開けるパターンが多い気がします。
推理とはある意味、倫理観などのたがを外して、
普通ではあり得ない角度から事象に挑む作業なのかもしれません。
本作で事件を推理する女標本士もご多分に漏れず変ったお方でw
大好きな物を目にすると人格が変る。
ここまでは一般人と同じなのですが、
彼女の場合は好物が骨なのが一線を画しています。
骨ゆえに、たがを外して口にするその発言は、
生命倫理に関わる物が多く、その独特の価値観に冷や汗をかいてしまいます。
ですが、リミッター解除により暴かれる、
嘘や死に潜んだ関係者の心情には、不意に感動させられるものがあります。
本作は事件のトリックや謎解きで魅せるタイプのミステリーではなく、
ミステリーが時折、成し遂げてしまう、今まで気が付かなかった人間の心情発見。
こうした面の開拓に特化したシナリオ構造。
唯一の真実と最善の嘘との間にある人間の奥深さに妙味がある作品だと思います。
展開的には、{netabare}本当の戦いはこれからだ!という微妙と言えば微妙な幕引き。
是非、続編での解答を期待したい所ですが、
宿敵キャラが典型的な弄ぶ系の敵なのが懸念材料。
個人的には今の所あまり魅力を感じません。なんか{netabare}毛もないですしw{/netabare}
不幸を愉しむ敵性格設定は、何でも引き起こせる魔法のアイテムですが、
一歩間違えば、茶番になり、ここまで積み上げてきた、
心情描写の深みが台無しになってしまう可能性もあります。
こうしたリスクに対する怖い物見たさ半分で、
いっそ原作で続き読んでしまおうか?とモヤモヤした引っかかりを抱えていた所、
この春、フジテレビで実写ドラマ化のニュースが……。
ドラマの1クールはアニメの2クール分の尺に相当するので、
奴との対決にもアニメを追い越して一定の決着が付くのかもしれません。
ただ、櫻子さん役が観月ありささんというのが年の差ミステリーw
ま、最悪フジがまたやらかしたとしても、
映像作品展開があればアニメ続編には追い風になると、
ポジティブシンキングで見守ることにしましょう。{/netabare}
個人的には{netabare} 常識的な倫理観に縛られて先生を薄情と誤解してしまった
女子生徒の心の揺れ動きや、
入院を断固拒否する、ばあやの矜持等{/netabare}に胸を打たれた。
骨になっても残るであろう人間の意志をあぶり出した、なかなか骨のあるお話でした。