aaa6841 さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.0
作画 : 5.0
声優 : 2.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
無免ライダーがよろしくない理由
弱くても立ち向かう。脆くとも立ち上がる。
拙くても止めず、認められずとも諦めず、一心不乱に前へ突き進んでいく。
そういう姿に感動を覚えることも確かにあるとは思う。
しかし誠に遺憾ながら、無免ライダーを見てそうは思わなかった。
深海王に相対する無免ライダーを描いたあの一件。
あれがよろしくなかった理由を端的に言うなら、あまりにも美しく描いているのがよくない。
不撓不屈の精神に感動を覚えるのはそれが美しいからではない。
泥臭いからだ。
だから大衆はもっと無秩序に描くべきだった。
サイタマが深海王を倒した後に悪態をつく奴が出てきたが、ああいう奴は無免ライダーが戦っているときにこそ登場させるべきだった。
そんな「嫌な奴ら」と、そうじゃない「良い奴ら」が対立することで多様なヒーロー像が生まれる。
たとえそんな奴らであっても残らず救う。なぜならそれがヒーローだから。
見たかったのはそんなヒーロー達の生き様。
なのにこのシーンときたら、皆一様に声を上げて応援しちゃってる。
もはやこの人たちは大衆ではなく観客だ。
命の危機に瀕しているというのに誰も逃げようとしないし、誰も目を逸らさない。
みんなで拳を突き上げて声援を送っている。
大衆が観客だから、戦いは見世物になる。
戦いが見世物だから、言葉が演説にしか聞こえない。
「私は弱いです。でもこうやって頑張っています」
大声で叫ぶ。高らかに謳い上げちゃう。
その光景に子供は泣きだして応援する。それに感化されて観客達は声を上げる。
もはや泥臭さ皆無。優しい世界の完成である。
実に胡散臭い。
ブラック企業の求人並に嘘くさい。
このアニメにアットホームな職場はいらないです。