橙色特別室 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
垂涎の的とはこういうアニメを示す言葉じゃないだろうか
長くて申し訳ないですが、変な話をひとつ。
私が小学、中学生の頃は、女子のリコーダーを云々やら、あくどい妄想の類のネタがえらく流行っていた(もちろん実行した勇者はそういない)。教師なんかも下ネタに乗っかってくる始末。今では問題だが、いわばそうやって、子どもたちなりに女性像を作り上げ、性に対する知識や関心を築いてきたわけである。脱線するけれど、ジャンプに掲載していたいちご100%を毎週読んでいたくせに、物語には全く興味ないというエロガキに心当たりがあるはずだ。
最近はみんな携帯電話を持っていて、パソコンも一家に一台以上が普通になったから、ネット上に性のぶつけ先が多数あって、下劣な妄想というのが少なくなったように思う。幼い子にも性知識があり、映像という直裁的に高揚できるネタが無数に転がっているから、少し前みたいに間接的な方法を取らなくても欲望の制御をできるわけだ。教育の見方も相まって、妄想から生じた下品なネタの取り扱いというのがめっきり減ったように感じる。
閑話休題。まあ時代の変遷もあって、今の十代がこのアニメを観て、主人公達の品のない行為や馬鹿らしい妄想に嫌悪感を覚えるのも無理はないでしょう。年齢に限らず、引く人はドン引きだとおもいますが…。
ただ、官能的な雑誌や小説といった、映像以外の媒体に頼ってきた人たちにとっては、本作のネタが下品だと感じながらも、どこか艶めかしく、淫靡に映るのではないでしょうか。私は本作を観て「こいつら馬鹿だな」と思いつつ、昔に思いを馳せたりしていました。エロは多くとも、今時のようにストレートなエロネタではないんですよね。思春期の女子に対する妄想を具現化したような媚態と焦れったさを兼ね備えた、品がないけど憎めない、そんなアニメです。
設定は活かしきれてないし、物語は面白みがなく、中だるみする。人のよだれなんて、一度視認したら嫌悪の対象に間違いありませんから、変態的な作品と捉えられても仕方ありません。
一見すると気色の悪いアニメですが、しかし、アニメの良さを存分に活かしています。だって、いくら可愛い人が演じたって、実写でよだれなんて見たくないでしょう。蜂蜜にも似たよだれの演出、ヒロインの陰気さと可愛さの切り替えなど、アニメらしい表現が詰まった作品です。携帯もない、古き良き時代の青春には癒やされます。
二十歳以上の人に観てもらいたい、そんなアニメでした。