めいろ* さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
一途なんです、美少女に。
当時、僕はまだ中学生だったでしょうか。
マテリアルゴーストという葵せきなさんのライトノベルを絵師買いして、その流れから本作品の原作を買って、読み始めて、なんとなくその頃の僕のお気に入りのタイトルと言えば、この”生徒会の一存”シリーズだったんだと思います。
まだライトノベルに触れ始めの頃で、そういった頃に出会って読んでいた作品なので、とても思い入れのある作品です。
本作品は、昨今のアニメーションやライトノベルの作風にはちょっと合わないというか、悪く言えば時代遅れな作品です。
裏を返すと、今ある一ジャンルを築きあげた原点になり得る作品だと言う事が出来るでしょう。
本作品は、ハーレム作品です。
ハーレム作品と言うのが浸透してきて、ジャンルとして形成されてしばらくの本作品、当時でも二番煎じじゃないかという声が多少なりともあったでしょう。
でも、ちょっと変わったハーレムで、ハーレムを味わうことになる主人公の考え方もちょっと面白いです。
ここで題名に回帰させて下さい。
「一途なんです、美少女に。」
と言うのは彼、主人公の杉崎が言った台詞です。
一途という言葉の定義は、一つの事に対して極端に打ち込んでいる様だと認識していますが、美少女という定義は、一つに絞れません。
美少女というのはいわばカテゴリで、美少女が好き!と言ってしまえば、その美少女というカテゴリに属する全ての人が好きだと解釈できます。
それでは、「美少女に一途」と言うのは、矛盾があるように思いませんか?
実は、矛盾がありません。
彼のその台詞は美少女に対しての発言では無く、美少女である彼女一人ひとりに対しての発言です。
本作品のハーレムというジャンルに対しての、回答はこうです。
ハーレムの中から一人を選ぶ事は、選ばれなかった人が傷つくバッドエンド。
ハッピーエンドを迎えるためには、全ての美少女を選ぶ。
つまるところ、これはハーレムの対象である主人公がハッピーになるエンドを焦点にしておらず、ハーレムを形成している美少女側のハッピーエンドが焦点になっている作品なのです。
これって、けっこう作品として成り立たないと思いませんか。
だって、美少女側にしてみれば、自分一人を選んでほしいじゃないですか。
自分”も”選ばれたというエンドに、ハッピーが果たして付随するのでしょうか。
ううむ、なんというか、現実的な事と非現実的な事が上手くマッチングしている上手い作品だったと思います。
上記の問いに、主人公は答える事が出来ません。
答えを出すのは、彼を思う彼女達の方です。