どらむろ さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
女児向け以上に、少女漫画寄りの魅力満載。伊藤かな恵さんの代表作です。
「ローゼンメイデン」で知られる、PEACH-PIT原作の少女漫画です。
深夜ではなく朝夕アニメ、2007年から3年に渡り1期51話、2期51話、3期25話の計127話。
少女漫画の王道的な展開やキャラ配置ながら、バトルしたり、恋したり、巧みな設定で成長劇に繋げたり、終始飽きさせない。
女児向けながら、結構広い層にも通用しそうな良作です。
…伊藤かな恵さんといえば佐天さんも捨て難いけれど、あむちゃんでしょう♪
クールさと等身大の可愛さ兼ね備えたツンデレ女子小学生いいですぞ~♪
「ネガティブハートにロックオン♪」
※レビューは3期まで纏めて書きます。
…2017年現在、10周年ですか…時が経つのは早いですねぇ。
{netabare}『物語』
「クール&スパイシー」と周囲から恐れられているけれど実は普通の小学4年生(後で6年生まで成長)な主人公・日奈森あむちゃんが、「なりたい本当の自分の化身」「しゅごキャラ」持ちとなり、同じくしゅごキャラをパートナーに持つ聖夜学園の組織「ガーディアン」の一員として、心が傷付いて「バツたま」になってしまった子たちを救うべくがんばるのだ!
…あむちゃん自身も「なりたい自分」に迷ったり、ガーディアンの男の子たちにときめいたり、成長していく。
とにかく、あむちゃんとしゅごキャラたちが可愛いです。
完全女児向けなプリキュアと比較して「少し本格的な少女漫画誌」の王道に沿っているのが特徴にして特長、意外にありそうで無かった作風です。(2017年現在、匹敵する作品は記憶に無い)
「周囲から一目置かれているけれど、本音は普通の女の子」
「学園の特別組織の一員」
「小学生の微笑ましい恋愛要素もある」
小学生の学園恋愛物としても親しみ易く、ガーディアンの日常系も良かった。
…女子小学生の恋愛物としてはある意味「12歳」よりも踏み込んでいて、あむちゃんと唯世(ただせ)君、イクト、歌唄(うたう)ちゃんのロマンスは結構侮れない!
イクトと歌唄ちゃんは「実の兄妹」という禁断要素も…ついでに「男の娘」も!
更には男子同士の因縁と友情も(唯世とイクト)
これは女児向けと言うよりも「カードキャプターさくら」を継ぐ、なかよし少女漫画だ!
…でも基本的には女児向けアニメの枠内なのも、安心して楽しめる利点。
長期放送で主要男子が入れ替わったり、再開したりで、あむちゃんの恋愛ドキドキ面でマンネリにさせない構成も上手い。
単発エピソードありつつ、主要キャラのエピソードがしっかりしているのは長期放送ならでは。
…長編エピソードは、あむちゃんのライバル・ほしな歌唄ちゃんと対決していく展開が随一でした。
なりたい自分が定まらないあむちゃんに対する、強固な意志で押してくるクールビューティー歌唄ちゃん。
悪い組織に虐げられてたり、最愛の兄イクトを救う為、になりたい本当の自分抑圧していたり…
ダブルヒロインの対比で本作のテーマ「なりたい本当の自分は、焦らず見つけていけばいい」的なメッセージが良い感じ。
意地悪く見るとあむちゃんが明確に成長してないかもだけど、ゆるふわでもいいから今はやりたい事全部やって楽しめばいい!という雰囲気自体が好感持てます。
「抑圧した自分」と「なりたい本当の自分としてのパートナーしゅごキャラ」の構図とドラマは、あむちゃん以外のガーディアンがちゃんと担当してくれてます。
戦闘シーンも良い…というよりは、見ていて楽しいです。
本格的に敵を倒す系ではなく、バツたま浄化が主なので意外とプリキュアよりも穏健なのですが、しゅごキャラごとの特性生かした多彩な「キャラなり」が可愛かったり、アクションも見応えばっちり。
メインで敵対するイースター社やブラックダイヤモンズとの対人戦は、毎度侮れないです。
悪い大人の陰謀に立ち向かう勧善懲悪も王道でしょう。
「なりたい自分ってなんだろう」と「アイディンティティー」を模索する作風は、女児向けというよりも少し上の年齢層(男子、おっちゃん共も…)にも通用するテーマです。
あむちゃんやガーディアンの葛藤劇も丁寧にやりつつ、個別回も飽きさせない。
なりたい本当の自分の化身としての「しゅごきゃら」や「ココロのたまご
」設定も非常に分かり易く、共感できる。
バツたまは「ハートキャッチプリキュア」(2010年放送)の「こころの花枯らし」の先輩でしょうか。(両作ともに講談社)
しかも、しゅごキャラの可愛さ楽しさが+αでついてくる♪
主要キャラだけでなくゲストキャラのドラマも良質で、どれかは(大人であっても)自分にも該当しそうな話もありました。
敵側の大人にもちゃんとドラマあるのがいい、ここら辺は後輩のハートキャッチプリキュアにも引き継がれている感じ。
総じて、長期放送としては、可愛さ楽しさ緊張感のバランスが取れていて面白かったです。
盛り上がり的には1期終盤(歌唄ちゃん関連)がピーク、敵のバツたま作戦がワンパターン気味、女児向けとしては些かえげつない展開(イクト関連の虐待や、おねだりCDはシャレにならない)等々の難はありますが、許容範囲というか、それら含めての面白さ。
103話以降はややテンション落ちますが、上級生になったあむちゃん達の成長が良い感じ、ラブコメの波動的にも、中盤よりも好きです。
『作画』
あむちゃん初め男女ともにキャラデザがかわいい!
ファッション面で非常にオシャレ、多彩なキャラなり等の見所多いです。
ほしな歌唄ちゃんは小学生組より年長の中学生な為か、バンド衣装が結構えろい…
長期放送だと完璧とは言えないものの、許容範囲。
むしろ127話に渡りこのクオリティーは素晴らしい。
『声優』
伊藤かな恵さんの初主演です。(初出演は、妖逆門-ばけぎゃもん-)
あむちゃんのクール&スパイシーなツンデレっぷりは至高、後のツンデレ系人気ヒロインは既にあむちゃんで完成している!
…ダイヤのクール系も何気に凄い。
他も豪華声優陣、ベテラン&新人時代の後の人気声優ズラリと揃えている。
女児向け長期放送史上、一番豪華なのでは。
ランの阿澄佳奈さん、スゥの豊崎愛生さんいずれも初期の好演、しゅごキャラの可愛さ満点でした。
唯世君の高木礼子さん、なぎひこの千葉紗子さん、海里君の斎賀みつきさん、イクトの中村悠一さんなど美少年勢が軒並みスバラシイ。
中村悠一さんは既に流石お兄様だった。
石田彰さんの学園長も典型的な石田さん。
ほしな歌唄ちゃんは水樹奈々さん、流石の歌唱力でした。
『音楽』
1期最初のOP「こころのたまご」が一番良いです。分かり易く完璧に主題に沿っている。
「なりたいようになればいいじゃん!しゅごキャラがついてるし~♪」
ここら辺のサビは、大人が聴いても結構ジーンと来ますよ…ああ~私のココロのたまごはいずこへ…
以降も主題歌としては申し分なし。
挿入歌含めて楽曲面が充実、インディーズバンドの歌唄ちゃん(水樹奈々さん)が良曲多数披露してくれる、これも見所でした。
「ゆめのつぼみ」が一番好き。
『キャラ』
日奈森亜夢ちゃんがバツグンに可愛いです。
(今にして思うと)伊藤かな恵ヒロインの決定版、ツンデレしかも女子小学生ですよ!
女児向け主人公としてはやや異質、品行方正タイプではなく、少し尖がっている性格や言動…そこが良いのです。
恋愛面では女子小学生相応のいじらしさ、そこも可愛い(いちいち可愛いなぁ)
なりたい本当の自分が定まらないのは、「いっぱいやりたい事があるから」
小学生の溌溂とした元気さも魅力でしょう。
クール&スパイシーはここぞという場面で健在、芯の強さでビシっと決めるカッコイイシーンも多いです。
優しい王子様な唯世くん、和風雅ななでしこ、兄貴分な空海、年下だかしっかり者な海里くん、そしてミステリアス美少年イクト…
あむちゃんを取り巻く美少年勢の層が分厚い!どの男子も長期放送で魅力バッチリでした。
その割に逆ハーレム感控えめなのは長期放送で登場と退場あるから、でも冷静に見ると、やっぱりあむちゃん逆ハーレムかも。
ややちゃんりまちゃんもワガママタイプで非常に萌える、やっぱり小学生は最高だぜ!
りっかちゃんは遅れてきた次期主人公候補、おっちょこちょいなナウシカ…
3期終了、その後の活躍も見たかった…。
ラン、スゥ、ミキその他のしゅごキャラたちも個性的で可愛いです。
相方が普段出せない本音を代弁している為か、人間よりはっちゃけた楽しさが。
あむちゃんとダブルヒロインな感じの歌唄ちゃんもクール美少女でした。
方向性違うけれどやっぱりツンデレ、回が進んでデレてくると更に可愛さが。
ブラコン妹なのもポイント高い(女児向けとしては些かヤバイ領域に…)
大人にも良キャラいるのは良作の証、敵対する二階堂先生や三条さんも大人らしい事情や汚さ…からの、やはり大人ならではの成長や子ども達への見守りが良い感じ。
細木数子さんがモデルと思われるインチキ占い師、冴木のぶ子のインパクトも大。
かなりおいしい活躍をしたり、実はかなり頼れる人であった。{/netabare}