北山アキ さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
フルバSuper-Lite + 萌え化中学生日記Lite
原作未読
最後まで観て
物語性は重視せず、美少女キャラと、その作内設定にリベラルな視点から理屈をこねるキャラ(先生)を愛でるためのキャラ・アニメで、その意味で紛れもない萌えアニメである。
物語を動かす際はとおっさんおばはんには馴染みの「中学生日記」風になり、その世代の人には懐かしいような恥ずかしいようないたたまれなさを喚起するかもしれない。
個人的には、ひかりのあざとさ、幼さ(小学生レベル?)がネガティヴな萌え要素に感じる。
{netabare}
途中経過で左翼的と書いたが、権力闘争抜きのそれである。
左翼の魅力は優しい世界の実現を目的に据えて、手段としての権力闘争を展開しているはずなのに、いつしか目的と手段を逆転させてしまうお茶目さにある。
(「~主義」みたいに思考を硬直化させた時点で宗教と同じ末路)
左翼から権力闘争を抜いたら、ポリティカル・コレクトネスによって無菌化された世界、つまり退屈しか残らない。
この作品の新しさ?は、闘争の不在による退屈を回避するために「萌え」を導入した点じゃないだろうか。
よくも、悪くも「軽い」。
良い悪いじゃないけど、アニメに慣れ親しんだ層に親和性のある表現をちりばめた作品で、一般寄りよりオタ寄りだと思う。
3話時点
「フルーツバスケット」を薄く、軽くして、リベラル思想にぐっと寄せた感じ。
(恋愛要素も少ないが、「フルバ」もそれがメインではないと思う。)
多様性への許容度とその許容性に対する信用度が全く違う世界であるため、
一方は呪いになり、こちらは個性になる。
正直、「フルバ」より物語強度は劣ると思うが、軽いのが悪いとは言えない。
キャラデザはこちらが遥かに良いが、あざといとも言えるのかもしれない。
この左翼リベラル教本的な世界観が「優しい世界」として好評価を得ることに不思議はない(僕もお伽噺は好きですし)。
裏を返せば、この作品にリアル・ポリティクスがもたらすドラマ性を求めてはいけないということかもしれない。{/netabare}