セメント さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
このニコタマが好きだから
私は正真正銘侮っていたんです。
前作のあんな平和なハーレムものから、一転して本作の1話はヘリコプターの爆発から始まるんですよ。
そりゃ興奮で身の毛が逆立つってもんですよ、あの衝撃は一生忘れられません。
<物語>
キャラクターは共通していますが、話は前作と一切の共通点もありません。
前作では一条姉妹が主役ポジだったのが今度は白鐘姉妹に代わっています。
主に白鐘姉妹と主人公の恋愛?に主眼が置かれていて、後の姉妹は友情出演って程度です。
前作がいよいよ踏ん切りを付けられなかったのに対して、こちらはシビアに"双子との恋愛"に迫っています。
双子のどちらかを選択を迫られ、それでも三人で居ようと藻掻き苦しむ主人公の痛切な心情を描ききってる点が何より素晴らしい。
本来は男女三人が一つ屋根の下で暮らす事は許されるはずがないんですが、自身の努力と周囲の理解で見事に実現する、その軌跡には思わず舌を巻きました。
なので基本的に白鐘姉妹と主人公にスポットが当たっており、他の姉妹が最早商店街の人達より登場カットが少ないのにもご愛嬌です。
さらに本作の特徴として挙げられるのでしょうが、抗い難い不条理が突如としてやってくるのも妙に生々しいです。
例えば6話の形而下学的銭湯から形而上学的銭湯への変革を望み女風呂に立て篭もった変態さん。
延々と毒電波を垂らす変態さんに金月龍之介さんの脚本の一端を垣間見れるのは置いておいて、何の前触れもなく主人公達が事件に巻き込まれている一例です。
それから三ツ木グループの御曹司の求婚もそうですし、イカファイヤーによる放火やダツミ機関の都市再開発も、伏線も無く唐突の不条理が訪れています。
大体財閥解体と同時に着手されたイカルス計画って何だよ!って突っ込みは置いておいて。
現実はやるせない不条理で一杯で、それでも強く生きている三人の構図は単なる萌えアニメに留まらない妙味があります。
<作画>
それにしても、これだけ原作と掛け離れた代物を平気で生み出せる制作陣の度胸にはただただ平伏すばかりです。
どうやら本作の冒険心が契機となって、ufotableは後年の大仕事(TYPE-MOON×ufotableプロジェクト)を獲得したみたいですよ。
原画には沼田誠也さんや松田宗一郎さんや木村豪さんなど、彼らはOPの原画にも参加していますね。
そしてレイアウト総作監の高橋タクロヲさんも語るに外せません。
余り馴染みの薄い役職ですが、全ての回の膨大な量のカットを監修をしていて、さらに本作での仕事がufotable独特のレイアウトの基礎となった鬼神でもあります。
爆発もサーカスも存分に堪能できて日常芝居も旨いと来れば、至れり尽くせりで文句の付けようがありませんね。
あとタイトルロゴの出し方が一々格好いい、こういう背景に溶け込んだクレジットって好きです。
<声優>
双子の声優については前作から引き継いでます。
主人公の双葉恋太郎は関智一さん、他にも檜山修之さんなどが出演してて暑苦しい面も。
<音楽>
とにかくOPが素晴らしい、ufotableお得意のOP詐欺なんですけど、初見では度肝を抜かされました。
天使を思わせるどこか張り付いた笑顔を浮かべたヒロイン達が真白の羽衣を脱ぎ捨ててから雰囲気がガラリと変わり、ド派手なガンアクションが展開される映像、100点です。
曲も良いですね、穏やかなイントロから一気に鬼のようなベースがガンガン響く様は脳を瞬く間に興奮させます。
EDはクレイアニメ、曲は前作の主題歌を担当していたeufoniusが担当しています。
<キャラ>
るるららが社会を痛烈に切って回る小学生というような意味不明な役所に落ち着いているのが一つ。
相変わらず千草姉妹の影が薄いのが一つ。
それから白鐘姉妹の誕生日が変わっていたのが一つ、これは本当に謎です。
そして針山は何者なんだというのが一つ。
"9回裏からでも逆転できんのが男稼業の良い所だ!"って針山の台詞は無駄に格好良くて未だに覚えてます。
アバンやOPにあるガンアクションを見たかった気もしますが、これはこれで洋画チックに纏まっていて完成度は高いです。
すっちゃかめっちゃかしていますが、要は愛の物語です。
そういった意味で、「双恋」と「フタコイ」は二つで一つ、双子みたいな間柄を体現しているのかな。
少なくとも前作の劇中劇として切り捨てるよりは、個人的にこちらの方がしっくり来ます。
他に類を見ない強烈な作品群でした、名作だと思います。