橙色特別室 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
総合得点ほど悪くはない
本作の登場人物は、グレンラガンとキルラキルのキャラクターを岡田磨里っぽく仕上げた感じ。いや、逆かもしれないですが…まあ、良くも悪くも個性的、という印象です。基本的に全員ぶっ飛んだ思考をしており、あまつさえお約束のような展開もあって全体的にラノベのようなノリになってしまうのが低評価の理由でしょうか。確かに、茶番、という言葉がしっくりきますね。ドタバタ劇とでもいいましょうか。でも、意外と悪くないんですね、これが。
1クールで八人の主要人物を動かすのはかなり難しいことですが、この作品はそれを見事にやってのけています。捨てキャラがいないのは素晴らしいことです。現実離れしたキャラが集まっているから印象に残るだけ、という部分もありますが、それだけではないんですよね。ここにトリガーらしさが詰まっていると感じます。演出と独特なキャラ絵も加わって登場人物が生き生きしていますし、あの世界感とも絶妙にマッチしていました。
設定云々はともかくとして、物語の構成は上手いです。綺麗にまとまっていて、1クールアニメのお手本にすら思えます。問題は、恋愛やシリアス路線かと思えば個性的なキャラがぶち壊して…を繰り返すところですかね。これをごちゃごちゃしている、と捉えるのか、遊び心が詰まっていると受け止めるかが評価の分かれ目です。キルラキルでもそうでしたけど、この製作会社はシリアス一辺倒にはせずに色々と詰め込んで、重くし過ぎないように配慮している気がします。良く言えば、岡田磨里とトリガーの折衷。悪く言えばグダグダなんですが、個人的には、一昔前のゲームを彷彿とさせる雰囲気があって楽しかったです。
ノリとキャラの痛さを好意的に受け止めることができれば、それほど悪くない作品です。感動はありませんが、楽しさは溢れていますね。評価ほどは悪くありません。
2クール以上と1クールのアニメを同じ目線で観てしまう、という現実が変わらない限り、オリジナルの1クールアニメの成功は難しいのかなと思います。なんだか、2クールの前半でキャラを掘り下げて、そこから感動へ…みたいな流れの作品が好まれがちなので、1クールだと設定が浅いやら掘り下げができていないやら辛辣な評価を受けやすいんですよね。読書好きなら、短編と中編には見方に大きな違いがあることを分かると思います。映画好きも同じです。映像と文学で異なるのは承知していますが、やはり観る側の視点は大切です。2クールでだらだら流すより、短く丁寧にまとめた作品が評価されればなと思ってしまいます。