mkanime さんの感想・評価
4.9
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
濃い、黒い、でも透明
全話見終わったので更新しました。
まず、一言で感想を述べるならば、
素晴らしい!!
この一言に尽きます。
きわめて緻密に練り上げられた物語です。
登場人物、セリフ、背景、声優陣の演技、演出。すべてが、12話という極めて短い時間制約の中で、テーマである「人間の心理」を描き切るという唯一の目的を達成するために計算しつくされています。
そのため、視聴者が本作品のメッセージを受け取るためには、物語中にちりばめられた必要最小限の心理描写を分析し、その人物がどういった経過を経て以前の心理状態から現在の心理状態、思考に移行したのか、またそのような思考を行う人間の性格について考えることを通じて、その登場人物の性格、価値観、その人物の中に流れるこれまで生きてきた時間、そういったことを推測し、各登場人物が、メッセンジャーとしての本作品において、どのような立ち位置、役回り、ないし装置であるのか。こうしたことを考察する必要があると思います。
したがって、万人受けする作品ではないでしょう。
それでも、本作品を生み出した原作者の思想の共有、という物語の本懐は達成しており、さらに言えば、人生をかけて考えるに値する問いを投げかける、というところまでやってのけていることは事実であり、最高の作品の一つであることは間違いないと考えます。
あまりにも濃密な作品であるがゆえに、僕自身、かなり時間を空けて1話ずつじっくりと消化していかねばなりませんでした。正直、たった1話鑑賞したくらいでここまで疲労感を感じたり、気分が落ち込んだりする作品は初めてでした。いわゆる「鬱アニメ」に耐性のない方には厳しいかもしれません。
しかし、アニメだからこそできる表現方法で「人間の心理」について1個人としての意見を述べようと試み、それに成功しているこの作品は、ぜひとも多くの方々に鑑賞してもらいたい作品です。
本当に、心からお勧めする作品であります。
まずは、第1話を2度視聴なさってください。本作品の奥深さに魅了されることでしょう。
この作品に出合えたこと、心からよかったと感じます。
本作品の制作に携われたあらゆる方々に、厚く御礼申し上げます。