岬ヶ丘 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
人間がシステムに挑んだ、大きな一歩の物語
1期に引き続き視聴。
2期では新しい公安の登場人物や、カムイと呼ばれる青年がドミネーターに認識さえされない新たな存在として物語のカギを握る。本作では他のレビューにもあったが各キャラクターの掘り下げよりも、作品世界の法であるシビュラシステムそのものの在り方を問いかける点に重きを置いている感がある。シビュラによる管理社会は本作の魅力の一つでもあるし、1期に引き続きその世界観にさらに深く切り込んだ姿勢は理解できる。
最終的に多くの犠牲を出したものの、朱やカムイの命を賭した行動によって、シビュラはカムイを集団サイコパスとして認めた。その結果シビュラ自身もまた自らをも裁いた、いや裁かなければならない状況に人間が追い込んだように見えた。この結果が今後社会にもたらす影響は計り知れないが、人間がシビュラと向き合いことによって得た大きな一歩だと思う。シビュラの法による統治に人間が切り込んだ、という物語のテーマ性は感じた。
キャラクター面に関しては常守が1期における狡噛の立場や考えを受け継いだ形になり、全体的に大きな成長を遂げている。相変わらずサイコパスは濁らず、一個体ながらもはや神の領域に近づいている感じさえする。後輩である霜月はいわばシビュラにとって都合のいい市民の典型例として描かれていた。最終的に常守と歩み寄る形にはならなかったが、彼女の存在が本作を象徴するキーキャラクターであったとも思う。しかし常守と霜月が協力して事件に立ち向かう展開を期待していた視聴者からすると拍子抜けということだと思う。
物語のカギを握ったカムイについては、彼の思想や行動がシステムに与えた結果はとても大きなものだと思うが、やはり1期の槙島と比べると一枚落ちるか。カムイと槙島の大きな違いは人を魅了する一種のカリスマ性であったと思う。カムイにもカムイのカリスマ性はあったのだろうが、そのあたりの掘り下げが不十分でなぜ彼を多くの人間が支持するのか、という点が弱かった。またカムイは若干スマートではなかった。改革に犠牲はつきものはいえ、意味のない血が流れすぎたことは作品全体を通して彼の評価を貶めてしまった気がして残念だった。本作の真打はやはり常守あるいは狡噛ということになるのかか。
その他作画・演出・CGに関しては1期よりも数段パワーアップしている。特に軍事ドローンが暴走する回の演出が個人的にお気に入り。
この後の劇場版でどのような展開になるのか、期待して視聴したい。