かしろん さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
一度見てみろっ!って感じの優秀作
-最終話まで見て修正-
加藤茉莉香は高校生。母親と二人で暮らしている。
学校ではヨット部に所属し、操船シミュレーション成績は優秀。学校の後はランプ館という喫茶店でメイドの姿でウェイトレスのバイトをしている。
そんな彼女にとある事実が告げられる。
とっくの昔に亡くなったと思っていた父親がつい最近まで存命だったこと。
その父親の職業は、免状による合法的宇宙海賊の海賊船船長ということ。
そして、船長だった父亡き今、海賊船免状を継げるのは直系の娘である茉莉香だけ、ということ。
かくして、ひとりの女子校生の運命の歯車が大きく回り出すのであった。
ラノベ原作。原作名は「ミニスカ宇宙海賊」。原作未読。
「モーレツパイレーツ」
という題名を見聞きして正直、全く触手が動かなかった。
が、見てみて正解だった。完全に裏切られた。
とにかく一度見て欲しい作品。むしろ見ろ。
ライトなスペオペとしては星界の紋章以来に面白いわ、これ。
物語:あっ!っと言わせる大ドンデン返し、みたいな趣向は無いが、主人公加藤茉莉香の良さを全面に出した見ていて清々しいスペオペに仕上がっている。
まず、5話まではチュートリアル。だが、チュートリアルと侮る無かれ。
丁寧に5話かけて主人公の性格、リーダー的資質、感の良さに頭のキレ方などを描きつつ、この世界における宇宙での基本的な艦対艦戦の戦略及び戦術を熱い内容で見せきった。全くもってお見事。
6話で海賊となり、物語が動き出してからは逆にポンポンと進めていくテンポの良さ。
クルーから受ける海賊家業講座もさっさと済ませ、見た目派手だから物語を見ていくうちに覚えてくれとばかりにクルーの名前や役割説明などは一切無し。
チュートリアルを丁寧に描いているおかげで、見ている側は劇中において「電子戦」の一言で何をやっているかが十分に理解出来ているので細かい描写は無し。挙句には画面に一発エフェクト入れるだけであの濃密な電子戦が行われていると脳内補完させられる。
こういった感じで濃密なチュートリアルのおかげで、それ以降はストーリーに集中できるようになっている。
その物語も原作準拠分もオリジナル分も非常に面白い。
作画:キャラの顔が時々クセのある崩れを見せる。動画部分でもちょいと手抜きな部分もある。
それ以外は十分に及第点。対艦戦の見せ方は巧い。
メールのやり取りなど、見ていて面白い演出もチラホラ。
声優:主人公加藤茉莉香に周りを固める面々ともよく合っている。
音楽:OPEDのももクロも聞いてるとだんだんクセになってきた(あんたれぇすのぉよぉにぃ~、で苦笑するが)。
特別EDや挿入歌として加藤茉莉香役小松未可子が歌う3曲が非常に良い。透明な夜空が非常に好み。
Elements Gardenの担当する劇中曲が盛り上げ役として大きな仕事をしている。
キャラ:主人公の明るい切れ者キャラが良い。ヨット部に弁天丸クルーにチアキはじめ他海賊に王族と周りのキャラも個性豊か。
最後まで楽しめた。非常に良く出来た2クールアニメだった。
お笑いの漫才といい1クールものアニメといい、短時間にいろんなモノを叩きこむ早いリズムが受けているが、こういうじっくり描くアニメも良いものだ。このリズムをダルいと思ってしまうのは勿体無い。
さぁ、次は劇場で海賊の時間だっ!