セメント さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
イェス!ユアマジェスティ!
マイロードは上官に対し、ユアハイネスは皇族に対し、ユアマジェスティは皇帝に対して忠誠に誓うという意味ですね。
マイロードは私もよく上司に使っています。
<物語>
いよいよ完結編です、主人公が悪の道に手を染めていく様子はザ・ダークヒーローものといった塩梅で心地良いですね。
前回に引き続き、①ゼロと黒の騎士団の復活を描く序盤(1~8話)と②超合集国の設立と黒の騎士団と神聖ブリタニア帝国による天下分け目の戦いを描く中盤(9~19話)と③シャルルとシュナイゼルに決着をつける終盤(20~24話)、そしてゼロレクイエムを完遂させる最終話(25話)といった流れで展開します。
相変わらずルルーシュの戦略は健在で、100万人のゼロやメタンハイドレード攻撃、ゲフィオンディスターバーによる東京制止など、ルルーシュの卓越した頭脳を象徴付けています。
特に100万人のゼロは強烈で、"ゼロは記号であり、ゼロに認められた国外追放の権利は黒の騎士団全員に与えられる"という作戦には思わずお見事と口を突いて出ました。
頭の良いキャラというのは容易ですが、実際の行動で才覚を見せるというのは簡単な芸当ではありません。
絶望的な状況から一発逆転を成功させるのがルルーシュの十八番ですが、それをなるべく矛盾の無いように導く脚本の妙味も讃えたい部分であります。
調子に乗って地の利を活かした星刻に戦略で上を行かれたり、不死身になったシャルルに出し抜かれたりするところまで、も含めてですね。
最後はシャルルもシュナイゼルも倒し、自らが虐殺皇女の名が霞む悪逆皇帝となって、ブリタニアの貴族制を解体し、フレイアを搭載したダモクレスも太陽と衝突させ、世界規模で民主制を敷いた後で正義の味方"ゼロ"に殺されると。
ルルーシュの伝記としては割と完璧な筋道を通ってきたように思えます、文句の付けようがありません。
1期から張られていた伏線、シャルル達の目論見やCCの契約内容なども回収されましたね。
ルルーシュが弱者が虐げられない世界を願ったように、シャルル達もまた跡目争いに嫌気が差して嘘の無い世界を願ったのでした。
嘘の無い世界を作るその方法とは、全人類の無意識に干渉し、取り繕われた自分という偽りの仮面を取っ払うというもので、実にラスボスらしい壮大な野望を掲げています。
ただ仮面が取り払われるというのは個々の人格を失くす事と同義で、さらに意識を表在化することで死者との会話も可能になるという、ルルーシュの言う通り昨日に生きる詰まらない世界の実現です。
そんな世界を望んだシャルル達は生死の線引きが曖昧であり、その態度がルルーシュの琴線に触れて野望諸共打ち払われてしまいます。
長くなりましたね、それからCCの契約内容とは死ぬことでした。
不死の能力を超越した保有者に譲渡すると死ねるということですが、結局契約は果たされたのでしょうか。
ルルーシュに不死の能力が譲渡されてからゼロレクイエムを決行したと考えるのも十分可能ですが、ルルーシュの最期のシーンを見るに傷が治ろうとしているとは到底思えません。
まぁその他大体の謎は解決したと思えます。
流石に細かいところを突っ込み出せばキリがないですよ、扇が簡単にゼロを見限ったり、ギルフォードが前後の脈絡関係なくコーネリアを妄信したり、CCがナナリーの拉致は察知したのに生存は察知できなかったり。
それを言うと1期の日本人虐殺というユーフィらしからぬ命令に待ってましたと言わんばかりに積極的に殺戮を行った近衛隊とかもそうなんですが。
そういうガバガバな認識を含めて、一つの完成された世界観を打ち立てたと感服します。
これはないだろうって言うようなキャラの行動であっても、なんとなく理解できる側面も感じてしまうんですよね、キャラが活き活きと描かれている証だと思います。
<作画>
スタッフは特に変わってないはずです、繊細な絵柄なのに丁寧に仕上がっていたと思います。
総集編が多いのも相変わらずで、一回お笑い芸人の有野晋哉さんを招いた特番やってたのは流石に迷走だと思いましたね。
特番内での発言が火種となって有野さんのブログが炎上した、なんてこともありましたね。
話題に事欠かさないアニメでした(最大限の暈し方)。
<声優>
新しく登場したのはナイトオブラウンズくらいでしょうか、まぁ一応重要キャラですが影が薄いです。
基本的に紅蓮の噛ませって認識ですね、豪華にも4人一気に登場した回は奇しくランスロットに全滅させられています。
モニカとか、実はブリタニア人もナンバーズも区別しない聖人騎士なんて設定もあるんですけど、声優は後藤邑子さんでアーニャと兼任ですし目立った活躍もなく即死します。
後は中華連邦ですか、星刻は緑川光さんと天子様は子役のひとですね。
子役といえばVVもそうですが、今は流石にもう見ないですね。
<音楽>
どの曲もFLOWとALIPROの1期コンビには劣りますね、2期も後半は復活してるんですけど、やっぱり「COLORS」が名曲過ぎました。
BGMは変わらず素晴らしいです、最終回で流れた「Continued Story」とか聞くと泣いちゃいますね。
<キャラ>
コードギアスのキャラは多い上に語ることが多くて困りますね。
スザクやロロは途中疎く思うこともありましたが、最後まで見てみると印象も変わりましたね、良い奴らでした。
オナニーナは、うーん、ちょっと擁護できないかな。
オレンジ?それは忠誠の名前です。
プリン?それは遠慮しておきます。
さて、どうしても気になることが一つあって、本作における天皇の位置付けですね。
ブリタニアに支配される前は天皇制があったと思うんですけど、以後の世界では全く登場していませんよね。
キョウト六家の皇神楽耶はそれを匂わせていますが、苗字がある時点で天皇の血を引いているとは考えにくい(=氏姓制度)でしょう。
ブリタニア皇族が日本における天皇制に似通っているので、首相以外は置くつもりがなかったのかも分かりませんね。
一応PS2版の「LOST COLORS」に皇族の示唆があるみたいですけど、果たして。
あ、もう一つあった。
黒の騎士団、それからルルーシュが皇帝となった神聖ブリタニア帝国にあっても、冴え渡ったデザインのコスチュームが一朝一夕で用意されているようですが、よほど優秀なスタイリストがルルーシュの傍に居たのでしょうね。
どうやら最近「復活のルルーシュ」という題目で正史の続編が製作されるというのを小耳に挟みましたが、まぁどうにでもなる終わり方といえばそうなのかもしれませんね。
ともあれ2期も1期に負けず劣らず、深夜枠から夕方枠に変更されましたが、過激さも寧ろ増しているくらいで、心の底から楽しめた作品でした。