朝霧麻衣 さんの感想・評価
4.4
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
自由を捨て監視社会を形成した先進国、内戦と虐殺が蔓延る貧しい国々
原作者は伊藤計劃、34歳という若さでお亡くなりになったSF作家です。伊藤プロジェクトの一つで、既に放映された「屍者の帝国」「ハーモニー」の原作者でもあります。
【あらすじ】
テロの多発をきっかけに、徹底的な監視社会を形成することとなった先進諸国、それとは反対に後進諸国では内戦や大規模虐殺が急激に増加していた。急激に増加する内戦や虐殺の黒幕として浮かび上がった「ジョン・ポール」、彼を追うのは主に暗殺を主任務とする米軍の特殊部隊。暗殺ミッションに従事する彼らの潜入捜査の内情とジョン・ポールの目的とは何なのか。
【キャラ】
声優が同じということもあり、ジョン・ポールが「サイコパス」の槙島に見えてきました。
【所感】
登場人物達(特にジョン)が語ることは、現代を生きる人達に投げかけられた強いメッセージだと感じました。私が感じたことを挙げていきます。
①今後の世界情勢によっては決して夢物語ではない設定
現地テロリストと特殊部隊員の激しい戦闘、最新の無人兵器や隊員達に当然のように殺されていくテロリスト達とそれを平然と遂行していく隊員達...痛覚麻痺や感情抑制によって完全な殺人マシーンと化していました。ただ機械のように引き金を引いていく、腕や足が千切れても任務を遂行していく、こんな現実が起きてもおかしくない時代に生きているのかと思うととても恐ろしく感じました(;一_一)隊員達がよく「仕事だから」と言って自分たちに正当性を持たせる行為..本当に恐ろしい(;一_一)タイトルやあらすじからもわかる通りかなりグロい描写が多々ありますので苦手な方ご注意ください!※R15指定の作品です。
②現実から目を背け、都合の良い情報だけを取り込もうとする民衆
厳しい監視社会によって約束された治安の良い先進国で豊かに暮らす人達、一方では内戦によって命を落とすかもしれない中で生きる貧しい国の人達がいる。自分達を豊かにする情報だけを取捨選択していく。今の世の中ですらそういった風潮にあります。これだけ情報が発達した社会でなぜ人々は世界に目を向けないのか?作品内では紛争・内戦の規模が違いますがそんな中でも目を逸らし続ける人達を見て自分たちもこうなるだろうと安易に予想できてしまう自分が怖かったです。
③言葉がもたらす人の感情に対する影響
作品内では言葉による人の感情への影響についてといった話がされます。自己の意思によって決定し行動を起こす、果たして本当にそれは自分の意思なのか?ちょっとこの辺難しくてよく分かりませんでした。
【まとめ】
ストーリーの核心に触れず思ったことだけ書くと無駄に長文になってしまいました。とにかく現代を生きるたくさんの人達に見てもらいたい作品です。この映画を見てどこか背筋が冷える、ナイフを突き付けられたかのような感覚がありました。こんな世界にはどうかならないで欲しいと願います(;一_一)近未来を想定したSFものだと「攻殻機動隊」や「サイコパス」が好きな方には是非お勧めします!原作を読んでいないので、読んでもっと深掘り出来たらレビューまとめ直します。