セメント さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ
谷口悟朗監督作品、ロボットアニメでもあり、どちらかというと政治とか戦記とかの色合いが強い気がしますね。
超が付くほどの有名作ですが、それだけに飲み込まれるような面白さを持っていますね。
<物語>
捨てられた皇子・ルルーシュが王の力と黒の騎士団を手に入れブリタニア皇国に復讐するという大筋で、1期は①ギアスの使い方を探る序盤(1~8話)と②ゼロを名乗り黒の騎士団を組織して総督府と戦う中盤(9~13話)と③虐殺皇女と合衆国日本設立の終盤(17~23話)の三つに分類されますかね。
本放送は23話で最終回を迎えていて、24,25話は1クール猶予を挟んでから放送してます。
この24,25話はコーネリアが指揮する総督府との決着でもあり、合衆国日本の敗退を決定付ける区切りになってますね。
13~16話はギアス対ギアスのサブタイが示す通り保持者同士の対戦がメインなので外しました。
ただ、マオはスザクの記憶が解放される狂言回し的な役割も担っていて、重要であることには違いないです。
その全ての話において捨て回がなく、とにかく毎度毎度次回への興味が唆される巧妙な作りには舌を巻きます、1話に2回以上は驚愕の展開というものが用意されていたように思えますね。
まぁ、偏に主人公であるルルーシュが魅力的である事が第一にあるのですが、彼が作戦を遂行していく過程(=脚本)もまた惹かれる部分であります。
ナリタ連山攻防戦における土石流攻撃やブラックリベリオンの地盤崩壊攻撃など"戦術ではなく戦術"を武器とする実にルルーシュらしい作戦で、主人公らしからぬ外道っぷりを発揮して甚大な被害を出してはいますが、爽快感すら覚えるのが怖いところです。
主人公の行動に驚かされるっていうのが新鮮で良いですよね、そういった場面に何度も出会えるのが本作の優れた点です。
マオに録画で会話し油断を誘って警官に包囲させ、さらに警官にはゼロの正体を口にしたら発砲するようにギアスを掛ける抜かりの無さには正直惚れ惚れしましたよ。
"殺せ"ではなく"発砲しろ"にした甘さが後々の痛手に繋がるのですが、そんなウッカリした所も好きです。
<作画>
制作はサンライズ、谷口監督的には初期の「エルドラン」シリーズとか「ガンダム」シリーズの仕事を振り返る原点回帰的な部分もあったんですかねぇ。
キムタカこと木村貴宏さんは監督繋がりで「ガンソード」に続いてキャラデザを担当してます、原案はCLAMPですけど。
このお二方(?)の組み合わせは良い塩梅ですよね、高い女性人気も頷けます。
さて、最後2話の放送が1クール挟んだのも、そもそも総集編が異様に多く(8話に1回くらい)、スケジュールが煮詰まっている雰囲気は察せられましたね。
それでも完成度を落とすことなく完遂したことにはエールを送りたい気持ちもありますね、いやそりゃまぁ放送当時は不満に思ってましたけど。
<声優>
満干全席、語りきれないくらい豪華で且つ合っていたと思います。
ルルーシュ役の福山潤さんは個人的に本作と「いぬかみっ」のイメージが非常に非常に強いです。
ルルの時とゼロの時の切り替えが旨いですよね、"ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる"の前口上は勿論、"違うな!間違っているぞ!"とか"撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ!"とかよく真似してウザがられて友達を失くしたものです。
スザク役の櫻井孝宏さん他、正解!と叫びたくなるくらいハマリ役でした。
谷口作品に無くてはならない田中一成さんや白鳥哲さんや高田裕司さんや倉田雅世さんなどもご健在で嬉しい配役でしたね。
<音楽>
OPに関してはFLOWの「COLORS」が圧倒的過ぎますね、本作の顔といっても。
後期OPの「解読不能」は余りの不満の多さに一悶着あった様子で、ボーカルの人がブログで愚痴るってな事もありました。
まぁ確かに合ってないと思います、歌詞も何一つ理解できませんし。
でも聞き続けると一周回って癖になっちゃうというか、普通に良い曲だとは思います、合ってはいませんが。
EDの方はALIPROの「勇侠青春謳」は名曲です、イントロを聞くと鼓動が高鳴ります。
後期EDは微妙ですね、ネットリボイスであまり好みのものではありません。
その点、最終2話は映像こそ出来合いなれど新OPにaccessとEDにはFLOWの前期OPを採用していて意気込みが伝わってきましたよ。
それからBGMもメリハリがあって素晴らしいですね、hitomiさんや酒井ミキオさんの挿入歌も収録されてるサントラの購入も検討してます。
<キャラ>
物語の方でルルーシュの魅力は語ったので、ここでは私の大好きなブリタニア皇族のお話でもと思います、まぁルルーシュも皇族なんですけど。
以下、一応2期のネタバレ込みです。
{netabare}最初に対峙するのはクロヴィス・ラ・ブリタニア、声優は飛田展男さんです。
ルルーシュとの交戦では無能の烙印を押されてしまっていますけど、文芸に秀でてそれなりに良い人だったみたいですね。
本編とは関係ないですが、googleで"クロヴィス"と検索するとサジェストに"いいやつ"と出てくるのがなんとも乙です。
私は最初、レジスタンスを懲らしめず甘やかさず泳がせることで極秘裏に着手していたC.C.の研究から皇国の監視の目を遠ざけ、行く行くはシャルルに牙を向く算段を立てていたと考えていたのですが、別にそんなことはなかったようです。
2期でバトレーが研究成果を皇帝に献上するつもりだったと言ってますね。
続いて登場するのはコーネリアとユーフェミアの姉妹、声優は皆川純子さんと南央美さんです。
コーネリアはピクチャードラマといい2期の拘束シーンといい、意外にもサービス要因のケがありますね。
普段の様子を見ていてさえ"えっちだなぁ"と思う以外の感想はありません。
そんなコーネリアに溺愛されるユーフィ、突拍子も無い思いつきで周りを振り回すのが大好きな皇女様ですね。
そんな性格が祟ってか、黒の騎士団の独立国家と発想を同じくする行政特区の設立を買って出、死の遠因を引き寄せてしまいました。
ただ、皇位継承権を捨てて、どのように行政特区を維持するつもりだったのか謎が残りますね。
皇国の後ろ盾がなくなるということですし、まぁ所詮は仲良くしたいだけの机上の空論ですか。
そしてシュナイゼル・エル・ブリタニア、声優は井上倫宏さんが担当しています。
2期の内容にも触れますが、ルルーシュにチェスで負け無しの矜持とそれを証明する辣腕っぷりが素敵なお兄様です。
その美貌と深みのある声、聡明にして穏和、その腹には底知れない脅威を感じさせます。
最終決戦ではルルーシュ相手に始終優勢に立ち回る強大すぎる敵手でした、よく倒せたものです。
ギアスで従わせた後の、寝巻きの肌蹴た様な姿で拘束されていたのが妙に印象深いですね。
そして我らがオデュッセウスお兄ちゃん、声優は山野井仁さんです。
困った事があるとシュナイゼルに助けを請う駄目さ加減が絶妙です、物腰が柔らかくて良いですね。
天子を口説こうとしていたことからも、南佳高率いるロリの騎士団に入団待った無しでしょう。
シャルルとマリアンヌに関しては割愛します。
他にも本編に登場したブリタニア皇族は、ギネヴィアやカリーヌなどが居ますが、皇族としての活躍よりメイドとしての活躍の方が記憶に鮮明でしょう。
あと漫画版の「双貌のオズ」とDS版のゲームに何人か出てきますね、本作にはメディアミックスが無限に生成されて随分と追うのが大変になってしまいました。{/netabare}
はっきり言って滅茶苦茶面白いです。
アニメを見ない人にもお勧め出来て、一度見た人も是非、何度も見て考察を深めていただきたい、そんな作品ですね。