ポッチャマン さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
神は人間に忘れられるのが一番辛いのか。それでも安定感バツグンの面白さ。
1期から続けて観ました。原作が漫画で少年ものなのは知っていましたが、観始めてすぐにこの作品のドラマ性たっぷりのストーリーに惹かれてしまいました。
舞台は現代で、主人公はなんと神様!とある無名の神が自分を信じてくれる仲間を見つけて、人斬りをする《禍神-まがつかみ》を卒業するまでの物語。もちろん、それからも続いていくけど、アニメはだいたいこんなあらすじ。
運悪く死んだ人間が神の武器になる《神器》という存在はこの作品特殊な設定。神と神器との関係は主と家来のような絶対服従で、犯罪など少しでも裏切ると《神を刺す》ことになり、天界から追放され黄泉に行ってしまう というような、面白いけど意外にシビアな世界観・設定で、バランス良く緻密に創られているなと思いました。
また、この作品には少年ものにありがちな大義名分はなく、夜トが今までの過去を断ち切り、主人公3人や周りたちとの日常に落ち着く(?)までの物語というふうにもとれますね。多分アニメでは夜ト、ひより、雪音の関係を重点的に描くことを強く意識していると思います。仲間たちの暖かさもこの作品の魅力かな。
以下感想。
1期はとにかく、夜トとひよりと雪音の3人の仲を最後まで見守る物語で、観てて睦まじいほどw
特に中盤の、中学くらいの少年である雪音の反抗を止めるために夜トが痛みを背負う描写で、かなり時間をかけて丁寧に二人の心情を描いているのは今どき珍しいんじゃないでしょうか。ラスト3話はアニメオリジナルらしいのですが、尺合わせでも、原作にあまり影響しないように終わらせたのは割と良かったかな。
でも、面白いのはやはり圧倒的に2期でした。1期で抑え気味だった毘沙門天などいろんなキャラクターが掘り下げられていくので、見応えがありました。{netabare} 特に毘沙門天が夜トを憎む理由が明らかになると、なるほどと思えました。壮絶な戦いで、このときの作画は凄かった。
毘沙門が初見ではめっちゃ恐い人だったのに、自分の神器のために狂ってしまうほど優しい神だったとは(笑)ある意味、兆麻が祝の器になった所以は夜トなのかもしれないですね。壮絶な戦いが終わった後の静けさは良かったです。毘沙門、敵だと怖くないのに味方だと頼もしいキャラとはこれいかに。 {/netabare}ちなみに、この2期の前半に当たる毘沙門編はいきなり1期の伏線を解いていくので、1期と2期続けて観た方が良いと思います。
後半には、恵比寿などクセのある神も出てきたけど、尺足りなかったかな?それでも魅力的なキャラクターばかりでした。声優はみなさんキャラクター性豊かで、特に神谷さんは夜ト神を喜怒哀楽たっぷりに演じられてて良かったです。この人以外には務まらないんじゃ…?
ただ、全部見終わって全体を振り返ると少々ストーリーが進むのが遅く、見どころも夜トと毘沙門との対決くらいで、最後に何かを成すようなストーリーではないです。
それでも、物語的には夜トの親父など原作ではどう進んでいるのか気になる終わり方をしたし、主人公たちとの日常の掛け合いがなんせ観てて心地良かったので、今後読みたい漫画のひとつにもなっちゃいました。シリアスがかなり長いので、完走したらOVA(全4話)も観てみることをおすすめします。みんな楽しそうなので。
あと、私的には1、2期両方とも神EDでした。サビのところで、ひより(1期)と夜ト(2期)が走っているのが逆で、歌詞も含んだ対比は良かった。心地いい爽やかなサウンドなのに、どこか切ない歌声に余韻が残りました。
全体的にひねったストーリーは無く見やすいです。登場キャラたちが好きになればハマるかも?まだアニメを観始めて間もない人になら勧められる作品かなと思います。