お茶 さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
舞台の雰囲気に合わせた演出
P.Aは舞台が良いのもありますが、舞台を大切にあつかっていますね。舞台は江の島。潮風が画面越しでも伝わってくるような雰囲気。この雰囲気が作品全体にも浸透されていて、本作の良さはそこありきだと感じます。
主に5人を描いた青春群像劇でしょうか。
その5人で合唱部を設立する流れで、1人、2人から5人になります。元々この5人にはそれぞれの悩みを抱えていて、合唱部なんてやっている時間はなかった。それに3年生でもあり、進路に集中しなければならない側面もあります。なので当初は合唱部になかなか加入しなかったのですが、それなりの理由があって入部することになります。
それなりと言ったように、たいして大きな理由はありません。ふとした日常で起こりえるさりげない事を、さりげなくエピソードになぞるように、いつの間にか合唱部に入ってしまった、そのような塩梅で描かれているような雰囲気です。ストーリー全体としても"江の島"を感じさせるよう気を配ったとさえ思ったほど。それは各キャラクターの悩みにおいてもで、向き合って、それから仲間がどうして、立ち直って、という一連の流れにおいても、劇的な展開はなく、それでいてスッキリと後を引かない演出は、潮風のようにほろ苦いけれども、苦すぎない爽やかさが漂っていました。
合唱部を作ったのに、彼女達はそこまで合唱部らしい活動は行いません。何かが起きても、それを解決する手段だったり、気持ちの整理をつけるためであったりを、何だかんだ音楽(合唱)に帰結するような物語の運びで、「合唱は一人ではできないし、音楽は楽しむもの」という本作のメッセージを、日常にさりげなくちらつかせてくるような演出は秀逸でした。
そのように舞台雰囲気とメッセージの伝え方を、こだわりを感じさせないくらいに、自然に表現したTARI TARIはある意味では、日常系アニメと言っても差し障りないかもしれません。