ゼルミナ さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
大人はどのように描かれるのか
2016観了。
ミルキィローズ!
ミルキィローズ!
ミルキィローズ!
ふう、気が済んだ。
鳴り物入り、という形容が相応しい追加戦士。萌える&燃える。
後年のそれとは位置づけが全く異なり興味深いのだが、その辺の考察は他に譲って、ここでは47話のブンビーさんについて語りたい。
ブンビーさんは組織の中で孤立している、というよりはエターナルという組織そのものが人同士の繋がりを拒否しているといった方が近い気がする。
そんな中、プリキュアの味方をするブンビーさん。
…闇を抜け、光にくみする、あるいは野望に忠実にボスにとってかわろうとするといった明確な態度ではなく、自分自身を笑う様な小芝居を交えてのその態度は(子供にどう映るかは最早わからないが…)社会の中に生きる大人としては共感を覚えずにはいられない。華麗に反旗を翻し、美しく散る、などとカッコよくいかないのが「大人」というものなのである。
その後も「大人」特有の微妙な物言いを続けるブンビーさんに、こちらは子供のそのものの真っ直ぐさで「なぜ?」をつきつめるキュアドリーム。
この時のブンビーさんの言葉自体は(極論すれば)なんでもいい。
ただ、その態度にある含羞が素晴らしいのである。
それは、今まで敵対してきた(悪を行ってきた)自分、これからも決してプリキュア達のようにはなれない自分、事ここに及んで実に微妙な援助しかできぬ自分が、臆面もなく恩人ヅラをする事などできないというゆかしさであり、それでもプリキュアたちに対する好意と憧れを抑えきれない自分に対する怯みであると思う。
それでも、勇を鼓して「私も行こうか」と問いかけるブンビーさんへのキュアドリームの返しがまた泣かせる。
「ありがとう、ブンビーさん」
はじめて名前を呼ばれた事に驚きながらも言葉に隠された拒否の意を悟るブンビーさん。
そう、自分は大人であり、少女達の敵になることはできても、仲間になることは最早できないのだと、そう思ったのかもしれない。
「はやく行け」
「らちもない事を言った」とでもいいたげな苦笑い交じりのブンビーさんに、憧れつつ愛しつつも場違いな存在である自分自身を重ねてしまいましたとさ。ほんとにもう。
あ、本作をセラムン的な文脈で語るのにあえて反論はせんけど、個人的にはむしろ聖闘士星矢の方が近いと思いますわ。