ゼルミナ さんの感想・評価
4.5
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
最弱からはじまるプリキュア。その到達点は…?
2016年観了。
多ジャンルに様々な影響をあたえたプリキュアではないだろうか。
蓄積されてきたフォーマットの上にクリエイターの個性を思いっきりのせて大成功、という視点では「Gガンダム」に似ているのかも。
思い切って緻密で豪華でカッコいいバンクと、動かすことに特化した通常画のバランス、組み合わせが素晴らしい。
(変身バンクのカッコよさはシリーズ屈指だと思う。)
とは言え、クライマックスではバンクに頼らない熱いアクションを見せるのがここまで貫かれてきたプリキュアイズム。
動から静へ、あらゆる(と言っていいと思う)アクションのエッセンスが詰め込まれた48~最終話のバトルは語り草。
何度観ても飽きないし、切り取られた動画の多さも一つの証左だろう。
(是非は措く。)
かと言って、ドラマも疎かにされていない。
家族との交流がきっちり描かれるのはメイン客層が児童であるプリキュアシリーズの長所だが、加えて本作では学園祭を盛り上がりの頂点とする部活話のウェイトが高いのも嬉しいかぎり。
宿題回、番長回などコミカルな話も多く、そのバリエーションの豊富さ、総体としてのレベルの高さは往年の傑作「魔法のプリンセス ミンキーモモ」(1982版)を彷彿とさる。(あとは巨大ロボ回があればなぁ…これも時代か。)
演出面ではキャラクターソングの積極的な挿入と俗に「キュアメタル」と言われる熱いBGMが印象深い。
最終回のインストからEDへの流れは水樹奈々のモノローグと相まって涙腺決壊間違いなし。
そう言えば「戦いのその後」に大きく尺を割いてるのも好きだなぁ。
無限顔。
そして個々のキャラクターの魅力。
最強座談では真っ先に名のあがるキュアムーンライト(久川綾)とライバルキャラとしての完成度が高いダークプリキュア(高山みなみ)のシリアスなせめぎ合いはベテラン二人の好演もあって、「あれ?こっちが主人公だっけ」と眩暈がするほど。
もちろん主人公であるキュアブロッサム(水城奈々)の成長も見ごたえがある。視聴者も納得の「最弱」が、先輩であるムーンライトを諭し、導くシーンは「トップをねらえ!」ばりの熱い名シーン。
とは言え、全編を通してのMVPはキュアマリン(水沢史絵)だろう。
狂言まわしとして、コメディリリーフとして、何より(ヒロインというより)ヒーローとして大活躍。
一見、類型的に見えて、物語に根差したキャラクターだと思う。
(オールスターでも思いっきり目立ってるし…色々と)
ファッション部の設定を生かした個性豊かな私服も見どころ。
遅れてきたプリキュアファンとして、「全シリーズ映画も含めて観んかいゴラァ」と絶叫したいのは山々だが、あえて一つ選べ、と言われたら本作「ハートキャッチプリキュア」だと思う。
おじさんのハートもキャッチされちゃったぜよ。