北山アキ さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
圧巻の映像
原作未読
AMAZONプライム(お試し1か月無料中)の会員特典で観た。
映像は圧巻としか言いようがない。
それだけで見る価値がある。
映像には迫力だけでなく、説明する力があるため、脚本もセリフに頼っていない。
物語展開は一見バカアニメ風だけど、それはドライな人間観のためだろう。{netabare}
人間は、他人の視線や、人体という物理的な制限がなくなった状況ではどうなるか?
人間の欲望なんて際限なく身勝手なわけで、バカが極まるしかないのだ。
肉としての自分と、その脳内の自分という自分の二重性を暴露しながら、バカ騒ぎが展開してゆく様は秀逸なコメディとなっている。
精神未成熟な天才がその制限を克服する科学技術を発明するという設定は珍しくはないが、ほとんどの創作は巨人の肩の上なわけだから、そこを「ありきたり」とこき下ろすのは卑怯だろう。
カオスを収束させるために、「男と女」とか二元論的な仕分けをする展開は、陰陽思想の発想だとは分かるけど、当然のことながらそんな思想に馴染みがない分、説得力には乏しい。
ただし、勢いが大事って畳み方を否定はしない。
ラストに恋愛要素を入れたのは、動物としての「性欲」を、恋愛という「ナラティヴ(物語)」を通すことで制御する人間社会の仕組み(性欲に限らず、欲望→物語)を明示するためなのかもしれないが、陳腐で蛇足な感もある。{/netabare}