oneandonly さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
技巧的に寄ってしまった軽い作品
世界観:7
ストーリー:5
リアリティ:5
キャラクター:5
情感:6
合計:28
思春期の少年少女のごく一部に発症する特殊能力。
人知れず能力を駆使し、順風満帆な学園生活を送る乙坂有宇。
そんな彼の前に突如現れる少女、友利奈緒。
彼女との出会いにより、暴かれる特殊能力者の宿命。
それは麻枝准が描く、青春を駆け巡る能力者たちの物語。
(公式サイトより)
最近、新しく見るアニメで泣くことが少なく(君の名は。は情感8にしていますが、情景描写への感動という面が大きいため、これを除けば、新規のレビュー投稿において、28作品連続で情感7以下となっています。)、先日の響けユーフォニアムの2期でも結局しっかり泣くことがなかったので、感動作品を見たいと思い、AB!やCLANNADアフターなど「泣ける」作品に定評の麻枝氏の作品に手を伸ばしたのが経緯です。
ざっくりした感想を述べますと、設定やストーリーの大枠の組み立てはまずまず面白いのですが、心理描写や物語の進め方が微妙なので(これはAB!やCLANNADも同じなので作風なのですが)、全体的にペラい印象となっていて物足りなかったです。
物語が大きく動き出すのが9~10話ですが、その後のエピソードからすると、これをもっと前に持ってこないとバランスが悪いというのが1つ。AB!も尺が足りない(他の登場人物のエピソードも欲しいし、主要キャラの死因等未回収部分あり)のですが、更に悪化しています。
登場人物に魅力や説得力がないのも評価できないところです。主人公が、{netabare}自分の能力をカンニングに利用したり、ひきこもりから助けようとしてくれた友人に当たったり、最後のほうでも人格がおかしくなったり、小物感が悪いほうに出てしまっていて魅力に欠けますし、ヒロインのツンツンぶりは悪くなかったですが、主人公に対する感情が最終話にかけて大きく変わり納得できませんでした。
兄貴のタイムリープのくだりはほむらの焼き直しでしたね。過去に使われた手法だから悪いというのでは全くないのですが、視力がなくなることがわかっていながらタイムリープを繰り返して、学校を作るとか。本当にそれで辻褄が合うのか疑問でしたし(学校を作ったら、逆に一網打尽にされるんじゃね?)、そもそもなぜ能力者が特殊能力のない大人に見つかるのかわかりませんでした。←ここは流石に、どこかで説明されていたのを見逃したんだろうと思いますが…
また、妹が亡くなるシーンはドキっとしましたが、それもタイムリープが出てきた回で、救ってハッピーエンドになるご都合主義が透けて見え、テンションが下がってしまいました。
死を扱う作品は、命の重さを表現できなければ駄作になりますが、それは、キャラの言動(叫んだり泣いたり)だけで表現する方法では強引で雑になります。化学調味料で「泣き」味をつけているような感じで、美味しいけど上品じゃありません。魂が入っていないというか、作者自身がこの作品やキャラを愛しているのかという面でも疑問が生まれました。{/netabare}
結局、全く涙が出なかったです。
最近、テレビの録画を保存していたSHIROBAKOを見直していて、そちらは神回でなくとも涙が出てきたので(情感10点作品は偉大なり)、作品の質が落ちてきているだけかとほっとしたところです。
(参考評価推移:3話3.3→8話3.4→9話3.5→10話3.7→12~13話3.6→調整3.5)
(2017.1視聴→2017.6調整)