デリダ さんの感想・評価

4.2
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態：観終わった

最初から最後まで爽やか

opはnano.RIPEご存知爽やかバンドですよね、
私基本一気見派なのでop、edどっちも飛ばしがちになっちゃうんですが
珍しくあまり飛ばさなかっです（驚き）
好きなopでもよく飛ばすのになあ、、、
割とリアルな設定で日常ぽい話なんですがなぜか疾走感がある。
これは作画の妙なのかもしれませんが、なんだかすごく忙しいけどやりがいあるなって時の感覚に似てて
opの映像とか見ててもなんかそうですよね、
この感じは共感してくれる方多いのでは？

東京から突然田舎旅館にきて生きる緒花さん、
なんですが確かに成長はしてるんですが
序盤で緒花含め登場人物たちに抱いた印象が全然変わらなかったのは驚きでした。
すごくストレートだなあ、と。
成長物語だとよく劇的に変化しますよね
ああいう変化って確かに好きなんだけどこっちの方が
なんかリアリティあるなって思いました。
あ、いや女将だけちょっと印象は変わったけどあれはちょっと例外ですかね？

私は高校生の時この作品をリアルタイムで観ていたんですが久々に見返しました。
昔はいろいろ緒花とかお節介加減とか
いろいろイラついて観ていたんですが、今見てみると全然うざくなくて、
むしろ誰の言い分もわかるというか、、、
後半部分に差し掛かって、
ああ、、、変わったのは私だったのか、、、、って年甲斐もなくなってしまいました、笑


作画は綺麗でした。
この作品はやはり緒花たちが過ごす背景が割と良かったです。
田舎の田園風景を美しく描くタイプはよくありましたが、
都会の東京を風景として美しく描くアニメはそうないように感じました。
あまり比較にはなりませんが似た方向性で言えば
新海誠さんの秒速や言の葉や最近流行った君の名はなどありますが
どちらといえば人が生きるこの世界全てが美しいですし、
見える景色は気の持ちようって感じがして、これはまた別かなと（それはそれで別の良さがあるんですが）
太陽の光もカメラで写した時に映るエフェクトがいつも入っていて
なんだか引き構図とかは記録映像のようにも感じました。

なんでこんなながったるく書いてるかというと
緒花がじゃーな！！！！って駅のホームで叫ぶシーン最高に良かったんですよね。
このシーンの特に驚きのない中央線か何線かはわかりませんが
良い描き方をするなあ、、、描く繊細さは変わらずとも
こんなにも色彩豊かに主人公が生きる街を彩れるのかと。
それに緒花自身の考え方も
なぜ高校生なのに強いというか、こんな精神的に大人なんだろうと！
いや確かに恋愛としては至らない部分は多々あるのかもしれませんが、
なんだかあー、いいなあって思ってしまいます。

劇場版もかなり重要なエピソードなので好きな方は是非見てもらいたい。
TV版は緒花個人の成長でしたが、劇場版は緒花のダメだけど実はそれなりな
母の若い頃の生き方も描きます。あまりネタバレは言いませんが
行動やシーン、構図やセリフ、緒花と比較するとなんだか胸が熱くなります。

この作品基本涙は出ないんですが、泣けるまでいく作品が別にいい作品とも限りませんしね。
僕は劇場版でなんというかすごく胸がじんわりと熱くなりました。
見ている最中はバカな緒花ですがこうして劇場版を見て思い出したり、
記憶の中にある彼女の生き方は随分かっこよく感じます。
そんな作品でした。