Derp さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
原作は傑作だがアニメは"良作"止まり
2007年に発売されたKeyの「リトルバスターズ!」を原作とするアニメです。
まず、自分は2008年に初めてリトルバスターズ!のゲームをプレイして、自分でも信じられないくらいドハマリしました。当然のごとくTRUE END後にもう一度プレイしました。
クリアした後は今で言うところのロス状態になってました。
娯楽性も兼ね備えており、個人的にはKeyの中ではアニメもゲームを含めてCLANNADに次ぐくらいの名作だと思っています。
アニメの評価ですが、非常にコンサバな作りをしているものの、シナリオへの理解度も高く、全体的な品質も良いので導入としては十分な出来となっています。
しかし、全編通して原作の"下位互換"になってしまっている節があります。
つまり、アニメがゲームを上回っているところがほとんどないんです。
シナリオはゲームを意識しすぎるあまり、むしろテイストやディティールを失っているように思えます。
そして、アニメのキャラクターデザインはNa-Gaさんの絵の魅力が半減してしまっています。
Na-GaさんのキャラデザとしてはまだAngel Beatsの方が上手くアニメに落とし込めています。リトバスのアニメはどちらかと言うと樋上いたるさんのデザインを全体に適用させているような印象を受けます。また、全体的にキャラデザが幼すぎる印象を受けました。
リトルバスターズ!のアニメ1期には映像作品としての爆発力が少し足りない。
演出面の魅力も足りない感じです。
本作の最大の問題は、話数の関係で日常パートがたっぷり描けないことです。
麻枝准さんのシナリオの魅力は日常パートに詰まっています。
リトバスのゲームでは、尋常じゃないほど平和で楽しい日々がプレイ時間にして長く続きます。
朝起きて皆で食事を取って、学校で馬鹿をやりながら仲間を集めて、放課後に野球の練習して、帰ってきたら気の知れた仲間とまた遊んで・・・時にバトルして、そういった連続性のあるものになっています。
ゲームにおいて、ずっとこの世界にいたくなると感じさせるように意図的に日常パートはまるで理想郷のように描かれています。
だからこそ、そのひたすら楽しい世界が虚構だとわかり、そこから出て現実に目を向ける事の重みや辛さが増すのです。
アニメではその日常パートの体験が十分にできないんです。ゲームのように連続した体験でありません。
リトルバスターズ!において、これらは"イベント"ではなく、"連続した楽しい日々"でなければならないんです。アニメではイベントになっていて、視聴者が理樹としてあの世界で生活しているような感覚は得にくいです。
また、リトルバスターズ!はゲームの段階でメインのシナリオ(鈴, Refrain)が全てだというのが顕著に出ています。
他のヒロインのシナリオは布石でしかない。(来ヶ谷唯湖ルートは特殊なので重要性が高いですが。)
しかし後々の展開を考えると省略しづらい。これもアニメでは不都合になる理由の一つです。
そしてなにより、テキストと台詞を元に自分の頭の中で解釈して楽しむというビジュアルノベルならではの要素がアニメになることで大幅に失われる事があります。これはディレクションや演出、脚本の影響も受けます。
最初にも言ったように、この作品の出来は悪くはないです。
しかし、本来のリトルバスターズ!の魅力は様々な部分で失われているように思えました。
カットしなければならないシーンがあるのは仕方ないとして、アニメのストーリーに組み込んでいるのに原作のニュアンスを微妙に変えてしまっている所がいくつかあるのは残念です。
音楽の使い方もマイナスポイントです。
あまりにもゲーム音楽を安易に使いすぎています。
ゲームの場合は曲の主張が強くても、テキストが表示されるのであまり問題にはなりません。
一方で、アニメの場合は音楽が台詞やシーンを邪魔する時もあります。やや軽率でした。
他に言う事があるとするなら、オープニングです。
ゲームのオープニングムービーがあれだけ印象的なわけですから、ゲームのオープニングに近い構成にしてほしかった。キャラ紹介のやつとか。
後編にあたるRefrainのことはRefrainのページで。