101匹足利尊氏 さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ゲーマー目線も交えて再定義される“加速”“直結”そして青春
原作ライトノベルは未読。
同原作者では同年アニメ化された『ソードアート・オンライン』の方が人気を博し、
私自身も原作を追い掛けているのは『SAO』の方。
実際、エンターテイメントとしては『SAO』の方が取っつきやすい印象です。
けれど、大規模MMO食わず嫌いとは言え、
ゲームをプレイしてきた、いちプレイヤーにとっては、
心に深々と刺さる要素は本作の方が多い気がします。
『SAO』が仮想空間のゲーム世界体験を描くとすれば、
『アクセル・ワールド』は“加速世界”のゲームも含めた、
一人のゲーマーの青春を描くといった感じ。
本作の主人公はゲーム世界ではそこそこの猛者でも、
現実世界ではいじめられっ子としてスクールカーストを底辺から見上げる存在。
本作の方が、ヘビーなネットゲーマーだったと言う作者により描かれた、
ゲーマーにありがちな現実世界における青春体験が
より色濃く投影されていると思います。
例えば、{netabare} 現実の憂さを晴らしていたゲームのハイスコアですら、
更新された時のもの悲しさとかw
一番、伝わって来たのは、主人公を通じて、
MMORPGにおける配信開始から過疎を経てサービス終了まで……。
ネトゲの栄枯盛衰をしんみりと語られた時。
ネット上にも確かにあったゲーマーの青春が開陳された、
妙なプレミア感がありました。{/netabare}
また、{netabare} 時間の流れが遅い仮想空間にリンクする体験は「加速」
そして憧れのあの人と有線LANケーブルで接続コミュニケーションすることは「直結」(笑){/netabare}
この原作者はアナログ世界で使い古された単語の、
デジタル世界での再定義が上手い作家さんだと思います。
と言うより、{netabare}能美とか言うゲス野郎はどーでもいいから、
私も早く先輩と「直結」したいですw{/netabare}
そんな独特なデジタル・アナログ交流の最中、
“加速世界”で時折、吐露される人情?要素には、
ネットリした生々しさがあります。
例えば、{netabare} ズルしても勝ちたい歪んだ少年の感情とか、
何故か熱弁されるバイク乗りの矜持とかw
最もグッと来たのは終盤、先輩が沖縄から東京まで、
“加速世界”上にて“実距離”を飛んで救援に来てくれた時。
「直結」した者同士の切っても切断できない、絆の強さを感じました。{/netabare}
大嶋啓之、MintJam、ONOKENと三者が担当したBGMの中では、
ONOKENさんのサントラがエッジが効いていてお気に入り。
特に「burst link」は“加速世界”で何かが起こる予感がビンビン伝わって来る逸品です♪