笙 さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
主役になれない主人公
ヒーローに憧れて三年、腕立て腹筋スクワット百回ずつに
十キロのランニングを毎日やり続けどんな敵をもワンパンで粉砕する
空前絶後の身体能力を手に入れた主人公。
熱いドラマに満ちたヒーロー生活に憧れていたのに、
いざその力を手にしてみればどいつもこいつもワンパンで終わりやがる。
いつしか戦い続ける毎日が無味乾燥に色褪せ、感情が死んでいく事すら
自覚する「つまらない強さ」に苦悩する異色中の異色ヒーロー。
それがワンパンマンことサイタマなのです。
ワンパン。それ故に彼は常に孤独だったのです。
一瞬の決着。だから誰が倒したのか、誰が助けてくれたのか、誰も知らない。
それ故に、自己満足に趣味のヒーロー業を続けながらも、
彼は彼に守られ続ける市井の人々には認知もされぬまま繋がりも無く、
ただ敵を一撃で粉砕する「作業」に没頭するだけだったのです。
そんな彼に微かな変化を与えるのが「ヒーロー協会」の面々。
弱くても、敵わなくても、必死に抗い続けるプロのヒーロー達。
力なき人々の声援を、或は罵声を一身に受けつつも
常に矢面に立ち悪に立ち向かう事をやめない人々。
それはサイタマが忘れかけていた感情。嘗て切に憧れた筈の自分の姿。
メカっぽい弟子やチャリ通勤の友人もでき、
死にかけていた感情が少しずつ刺激されているのが画面越しに伝わりました。
絶対的な力を持ちながら決して救われない孤独なヒーロー。
私はサイタマがヒーローとして救われる未来を願わずにいられません。
ヒーロー達がサイタマにどんな影響を与えて行くのか、
第二期を楽しみにさせて頂きます。