北山アキ さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:今観てる
「クズ」に拘泥するより「本懐」の方に着目すべきである(5話まで視聴)
原作未読
5話まで観て
やはりエロくない。
そういう気分にさせて欲しいが、痛々しさしか伝わってこない。
そして、それこそがこの作品の魅力だと思う。
音楽教師は自分の欲望と行動にミスマッチがなく、主体性があって清々しい。
そもそも、この人は別に何も悪いことしてないよな?
自由恋愛が肯定される社会で、彼女の行動を不道徳と考えることの公共の利益は理屈は無い。
私的な領域の自由は保障されるべきで、自由を制限することのほうが公共の不利益に作用する。
その意味で、音楽教師は個人を抑圧する超保守主義的な思想や無自覚に対するアンチテーゼだと言える。
人間を道徳ロボット(既存の価値観に対して無批判に従順という意味で)に改造したい人は別だろうが。
花火は与えられることに期待するばかりで、自らでつかみ取る意識に乏しい。
音楽教師はそんな花火の態度に苛立ちと不満があるから挑発して殻を破らせたいのかもしれない。
音楽教師は麦の好意に気付いていないはずはないので、やはり花火と同様に心理戦の対象である。
しかし、麦はお兄ちゃんほどチョロくは無いので、音楽教師の策には安易には乗らない。
音楽教師の物語は、恋愛の肉欲ではなく、精神的な征服欲や所有欲の側面、逆に支配のための手段としての恋愛やセックスの物語となっている。
「搾取」は「支配」という概念の構成要素なわけで、彼女のセリフで「搾取」が出た時点でそれは確定的だったわけだ。
もちろん、花火や麦の恋愛観は異なる(それが何かを本人たちが説明できないとしても)。
よって、これは恋愛ドラマと言ってももはやカップリングの物語ではなく、思想闘争の物語として展開してゆくのかもしれない。
だから「クズ」に拘泥するより「本懐」の方に着目すべきである。
3話まで観て{netabare}
感じ方の問題だけど、アニメ成分で「エロい」が多くて少し困惑。
寸止め系はエロくないというつもりはない。
けど、これエロいのか?
僕個人としては、セックスレの恋愛関係は理解できなくはないけど、ぬくもり、もっと直接的に言えば相手の物理的な体温が不要な恋愛は理解できない。
「愛」という感情を言葉にしようとしても、言葉は社会の鏡であり、「愛」なんて特に政治的な手垢にまみれてしまっているので、頑張っても、単純な体温の説得力に勝てない。
物体としてのヒトという形態をとっている限りは「愛」に「体温」という要素は必要不可欠だ、と理屈抜きに思ってる(個人の意見)。
僕にとって、他人の体温や質量を感じることは、相手を通して自分の存在を確認するという意味があることは否定できないけど、自己承認欲求のことではない。
それでも自分本位な行為に変わりはないと言われそうだが、相手もその行為の中で肯定的な価値を得ているとすれば、一方的行為とは言えず、トレード又はトレードオフの関係が成立すると思う。
もちろん、誰の体温でもいいというわけではないし、逆に体温があればそれが愛に結実すると言っているわけでもない。
が、愛には代替不可能な特定の一人の体温がなきゃいけないとも思わない。
また、体温を愛の専有物と言っているわけではなく、体温自体が独立した価値を持つと思うので、愛とは別に、許容可能な他人の体温自体を必要とする人もいると思う。
だから、花火の体温への欲求は不自然とは思わなくて、その欲求にはエロさを感じない(リビドーなんて知ったことか)。
麦の方は、まだよく分からないけど。
ところで、エロいって何?
淫靡?扇情?官能?催淫?性感?nasty?
商品価値と市場規模から考えても、「エロ」は「愛」と同じくらい政治的な言説だと思う。
もし、「エロ」が「勃起トリガー」を指しているなら、「勃起トリガー・ハッピーだ」とか「勃起トリガーの引きが強い」とか言ってもらった方が分かりやすい。{/netabare}
2話まで観て{netabare}
狭義の恋愛ドラマかどうかまだよく分からないけど、広義のそれではある。
キャラが行動的なので、うじうじするだけで何もしないという展開にならないところが良い。
その行動は短慮で衝動的だけど、自由で奔放でもあるので、原作人気も頷ける。
(倫理観に拘る人には受け入れがたいだろうけど)
本当に欲しいものが手に入らないから代わりのもので穴埋めする。
実際に、それである程度の乾きは癒されるものだ。
一方で、本当に欲しいと思っているものが手に入れば、乾きは本当に完全に満たされるの?
という視点からいくと、これから恋愛(カップリング)の成否よりも、
恋愛感情という乾きの形を彫り進めてくれることに期待。 {/netabare}