ワタ さんの感想・評価
4.1
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
「起きないから、奇跡って言うんですよ」
多くの方が言う通り、真琴編は丁寧に描かれていて良かったと思います。
徐々に衰弱していく真琴を見るのは本当に辛くて・・・
ラストのあの丘での結婚式シーンは感動的でした。泣くまでには至りませんでしたが。
ただもしこの回のEDテロップで、沢渡真琴でなく"相沢"真琴と表記されていたら、
私の涙腺は崩壊していたことでしょう。
真琴編も良かったですが、個人的に最も印象に残ったのは栞編ですね。
まず美坂栞というキャラが大好きで、keyのヒロインの中で一番好きと言っていいぐらい。
彼女は余命いくばくもない、重い病を患っています。
しかし病弱な素振りは全く見せることなく、いつでも眩しいぐらいの笑顔を見せてくれます。
祐一を見つけたのが嬉しくて、後ろから体当たりしたり
もぐらたたきゲームで「えいっ」と頑張っても、反応が遅くてもぐらを全く叩けなかったり
辛いのが苦手なのに、祐一と同じものが食べたいという理由でカレーを食べてみたり
(食べる直前に一瞬躊躇して目が泳いだり、食べてる時の顔真っ赤な表情とか)
もう全てが可愛い過ぎます!表情や仕草が凄く細かくて、そこは流石京アニと言ったところ。
「そういうこと言う人、嫌いです」
「起きないから、奇跡って言うんですよ」
台詞もインパクトのあるものが多いです。
祐一との最後のデートの夜、噴水場でのやり取りはもう何と言ったらいいか・・・
「私、笑っていられましたか?」
この台詞で、真琴編ですら泣かなかった私の涙腺が崩壊しました。
栞は自分は弱い人間だと言ってますが、そんなことはない。
自分の弱さを認められる人は、強い人間だと思います。
他のシナリオと比べてファンタジーの色が薄く
他のヒロインと比べてアレな言動が少なく、そして唯一、祐一にとって初対面だった女の子。
栞のキャラとシナリオは本作において極めて異色であり、だからこそ印象に残りました。
本作の終盤の展開は色々腑に落ちない点が多かったです。名雪の扱いが・・・
母が交通事故に遭い、精神的に衰弱してる名雪を放置してあゆを探しに行く祐一・・・
名雪とあゆのルートを並行させたことの弊害がモロに出てしまった感じです。
素直にオムニバス形式にしとけばとも思いますが、
放送当時(2006年)はオムニバスという発想が出ないのもしょうがないか。
それにメインのヒロインであるあゆを、ルートごとのブツ切れ感をなくすために
各ルートにおいて積極的に絡ませようとする判断自体は悪くなかったと思います。