yuugetu さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
丁寧でシンプルな話運びでテーマが光る
2016年秋アニメ。全12話。オリジナルです。
父と娘の関係性、普通であることの大切さ、願いのあり方などの主要な要素をしっかりと繋げ、それを軸にして堅実に物語を組み上げています。
敵サイドの描写が不足しているのは気になる点ですが、主役側の描写をメインにするために敢えてカットした印象。
多少エロや萌えはあるものの、その理由付けはありますし全体的にバランスが取れています。
地味目ですが要素を詰め込みすぎておらず、よくまとまっていて見やすい作品です。
キャラクターも全体的に落ち着いていて、好感触でした。
基本的に子どもは子どもらしく、愛される対象として描かれています。主人公のまといはすごく普通の女の子だし、ゆまはちょっとイタい子かと思えばめっちゃ良い子だし、クラルスは頑張り屋のソフトツンデレだしw
大人も常識的なキャラクターが多く、子ども達を愛し見守る良い役回りでした。特にルシエラとカリオテは最初の描写からはちょっと冷たく感じるんですが、描写が増えるに従い「この人たちどんだけいい人なん?」みたいな感想に変わっていきましたw
作画はシンプルに線を減らしていて、その分活発に動きます。よく絵を崩しているのですが、わざとやっている感じがします。
「普通が大切」なので背景もとても綺麗です。その対比のためか、高次元空間はCGの少し気味悪く感じる作りです。
特に良いなと思ったのが音楽で、OP、EDも作品によく合っていて、BGMも合っているだけでなくCDでじっくり聞きたいと思う物が多かったです。
{netabare}
願いのあり方は個人的にとても理解しやすかったです。強い願いに神様が応えてくれるという設定が、魔法少女ではなく纏創の巫女であることに意味を持たせています。
誰かを守りたい、平穏に暮らしたいなどの願いと、憎悪や欲望・復讐心など煩悩は明確に違うもの。
両親と平穏に暮らしたいまとい、まといを守りたいゆま、復讐心の底にある友達を守りたかった、失いたくなかった気持ちを思い出したクラルス。
三人とも普通なら当たり前であることがその願いで、もう一度取り戻したいもの、失いたくないものがあるからこそ、神様が力を貸してくれるのですね。
父親の描き方には感心させられっぱなしでした。作品全体の中でも描写に特にこだわりを感じました。
伸吾はまといとは秘密を共有しない父親で、まといの守るべき、戻るべき「普通」の拠り所。
拓人は天装の巫女やまといの母のことを知っているからこそ、ゆまを「普通」に引き留めたい、自分自身も「普通」でありたい父親。
カリオテはその立場から、「普通」であることからクラルスを遠ざけることにはなっています。けれども保護者として心の底ではいつも彼女の無事と幸せを願っていて、クラルスの本当の願いにも気付き後押ししてくれました。
三者三様の父娘関係が面白かったですね。
{/netabare}
若干のエロ要素はありますが、多くの人に見て欲しい良作です。
2017.1.24