Progress さんの感想・評価
4.2
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
社畜戦記!
一話でキャラデザであーだこーだ言われてたけど、やはり面白ければ人は見ますね。
{netabare}
【どんな作品】
魔法を一つの兵科とした軍記物。
主人公は社畜精神の刷り込まれた元サラリーマンが異世界転生した幼女。
安全な仕事をしたいが、いつもトラブル続き
【魔法は戦争の一兵器】
この作品の世界では魔法を使える軍人は、魔法力を推進装置に注いで空を飛び、魔法力を込めて打ち出すライフルを使います。
日常パートで魔法を使うことはほとんどありません(というか描写されていない)。
見方を変えると、魔法兵科があること以外は、現実世界のww2時代のドイツをモデルとしています。
作品世界の中で魔法を使える人は別に珍しい訳ではなく、ターニャも魔法力が大きいこと以外は特別でもありません。
主人公がどのように現実世界の知識(ある種の未来予知) を生かして、どのように軍隊の中でのしあがり、戦争を立ち回るかが魅力になっています。
最近、異世界物で流行りの現実世界の物を作って、後進的世界を驚かす作品に良く似ているかもしれません。ターニャ自身が何かを作り出すわけではありませんが「ドリフターズ」という作品でもある、「思考の差異者」的な立場で、異世界にある魔法というものをどう活かすかがポイントになってきます。
【社畜精神の根付いたサラリー幼女】
主人公のターニャデグレチャフは、普通の世界ではサラリーマンをやっていましたが、同僚の恨みを買って死んでしまいます。
死ぬ間際に現れた「神」に反抗して、過酷な状況の世界に転生させられ、魔法の力があるとわかったら軍隊に志願し、そこでのしあがっていき安全な後方で悠々自適な生活を送りたいと野心を抱いています。
自分の性格がねじまがっていると自覚しているらしいですが、本当に彼は性格が悪いのか?
彼が同僚の恨みを買った件は同僚が悪いという見方もできるし、むしろこんなことで神の怒りに触れてしまうなら、首を切る人事は善人しかいないか、全員転生させられてしまう(笑)
しかも、自称神が言うには「人間は増えすぎた、仕事が追い付かない」らしいですが、時間を止めて人と話せるのに仕事が追い付かないって(笑)神様も人間と同じ時間感覚で生きてるような口振りが、神様らしくない。
おっと、話がそれました。主人公の性格は確かに情がないですが、真面目に働く人間で、社会のルールの中で競おうとする、まさに社会の歯車です。本人もそれで悪目立ちせず順調に出世したいだけのかなり視野が狭い部類の人間です。会社の人事評価だけが幸せの社畜野郎です。
それが彼の性格を評価するときに、悪いやつだとか、良いやつだとかは思いません。むしろルールを全く逸脱しないので素直な人間にも見えます(笑)
では彼が「無宗教」と神に言い放ったのは、今の日本なら珍しくない考えです。
科学の力でなに不自由なく暮らしていたら、そうなるでしょう。科学は人がコツコツ積み上げてきたものです。
「最近救いを求めてこないなー」なんて、神様が思って、いたずらに奇跡を起こしゲームをひっくり返す存在とは、コツコツ頑張る主人公は相容れないのはわかる気がします。 やっぱり自称神の方が悪魔的ですね(笑)(おや…ガヴリールドロップアウトかな?)
そんな彼がターニャとして転生し、軍隊でもコツコツ頑張るわけですが、神様がちょっかいを頻繁にしかけてくる(笑)忙しいといっていた割りにはずいぶんターニャにご執心のようです。
人の人生をおもちゃのように扱う自称神に復讐を狙うターニャ。自称神によって仕掛けられた大戦に、ターニャは前線に立ち、立ち向かっていく事になります。
【狡猾なターニャの策通り上手くいかないのが魅力の作品です】
色々書いてきましたが、この作品の魅力は、ターニャが魔導兵として戦闘に参加して評価され過ぎたり、軍のお偉いさんに取り入ろうとしてまた評価され過ぎたりと、評価のされ過ぎで安全な後方勤務が遠のくターニャの狼狽が面白い作品です。
また、戦闘シーンは、装備も魔法力も強いターニャの独壇場の展開や、向かうところ敵なしの部隊を作り上げ、次々と勝利を重ねる俺強系に属す展開になっています。opening曲ending曲共に戦記物らしいカッコいい曲になっており、雰囲気が良くできています。
日常パートは、狡猾で小物くさいターニャの思考を楽しんだり、上手くやりすぎて、もしくはなぜか物事が上手くいき、望む方向にいかないターニャを楽しむコメディ物として満足出来ます。
{/netabare}