ペガサス さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
圧倒的なリアリティ
こうの史代の漫画を原作とする、片渕須直の監督、脚本による劇場版アニメ。
漫画の完成度が高いので、アニメ化でスポイルされるのでは?と思ったが、まったくの杞憂でした。
好きなタイプの絵ということもあり、それが躍動感を持って動くのを見ただけで感動してしまった。
手で描き絵に動きを与えて人物と世界を生み出すという行為に、これほどまでに力があるのかと再認識させられた。
クラウドファンディングによる制作も一般の支援者との繋がりから、作品への意見や思いを共有できるのが良い。
今という時の連続が時間となり、その人物の一生となる。
戦争が特別なことなのではなく、戦前、戦中、戦後の「今という時」の連続の全てが、かけがえのない彼女が生きた時間なのである。
アニメーションの力は、世界の片隅に生きた彼女の人生を精緻に描き出す。
その圧倒的なリアリティは、何気ない日常さえも輝きに満ちた普遍性をもって浮かび上がらせる。
本当に宝石のような大事にしたいと思わせる稀有な作品である。