月影 さんの感想・評価
3.6
物語 : 2.0
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
狂気のヒロイン
主人公を盲愛し、主人公のためなら、平気でいくらでも罪なき人を殺める、主人公が命を懸けて誰かを助けようとしても「見捨てちゃえばいいじゃん」とケロッと言ってのける狂気のヒロインが、この作品の最大の魅力である。
なにしろ、目的達成のために、自分ですら、惨殺してしまうわけだから、とんでもなく倒錯的で、変態的な魅力である。
もちろん、主人公は、薬で眠らされて、監禁されます(笑)。
引くべきところもわきまえていて、主人公と関係性が悪くなったときは、主人公の母親に取り入った上で、ご飯だけ作って、帰って行きます。もちろん、主人公の母親に取り入ることができなければ、容赦なくブチ殺すことが前提です。
このヤンデレの魅力にはゾクゾクした。
これに呼応して、主人公の中途半端なクズっぷりも、また見事である。
他方、ストーリーは、まぁ面白いのだが、いろいろと設定がガバガバである。
細かい部分の詰めがまったく甘い。
日記所有者には、「神になるつもりはない」などと悠長にのたまうキャラがかいたが、そもそもルール上、日記所有者になって、神にならないで生き続ける、という選択肢などあり得ない。日記所有者となって、神にならなければ、ルールを変えない以上、死ぬしかないのだが、そういった悲壮感はまったく感じられなかった。
こういった根本的な疑念をいだく設定等が至る所に存在する。
キャラクターの心の動きも、不自然に思えるところが多かった。
面白い話なのに、今ひとつ感情移入できない所以である。
正直、ストーリーを考えた人の力不足を感じてしまった。
ラストも、ヒロインの狂気をいまひとつ昇華しきれていないし、結果にも納得できない。