タック二階堂 さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
語り継いでいくべき戦中・戦後の日本。
18歳のすずさんに、突然縁談がもちあがる。
良いも悪いも決められないまま話は進み、
1944(昭和19)年2月、すずさんは呉へと
お嫁にやって来る。
呉はそのころ日本海軍の一大拠点で、
軍港の街として栄え、世界最大の戦艦と
謳われた「大和」も呉を母港としていた。
見知らぬ土地で、海軍勤務の文官・北條周作の
妻となったすずさんの日々が始まった。
夫の両親は優しく、義姉の径子は厳しく、
その娘の晴美はおっとりしてかわいらしい。
隣保班の知多さん、刈谷さん、堂本さんも個性的だ。
配給物資がだんだん減っていく中でも、
すずさんは工夫を凝らして食卓をにぎわせ、
衣服を作り直し、時には好きな絵を描き、
毎日のくらしを積み重ねていく。
ある時、道に迷い遊郭に迷い込んだすずさんは、
遊女のリンと出会う。
またある時は、重巡洋艦「青葉」の水兵となった
小学校の同級生・水原哲が現れ、すずさんも
夫の周作も複雑な想いを抱える。
1945(昭和20)年3月。呉は、空を埋め尽くす
ほどの数の艦載機による空襲にさらされ、
すずさんが大切にしていたものが失われていく。
それでも毎日は続く。
そして、昭和20年の夏がやってくる――。
(公式より)
というお話。
原作は漫画で、第13回メディア芸術祭マンガ部門
優秀賞など、数々の賞を受賞しています。
そして、クラウドファンディングで制作が決まった
という経緯も話題になりました。
さて、映画本編はというと、なんとも不思議な
雰囲気の作品でした。なんというか、ふわっと
したストーリー展開で、深刻な出来事もサラッと
俯瞰で追っているような感じ。
ただ、それが浅いという印象ではないんです。
作品全体を通した、どこか妙に冷めた視点で
描かれていて、それが観ている人にグサグサと
トゲを刺していくような…
こう書いてしまうと、う~ん、ちょっと違うかな
という気もするし、でも傑作なのは間違いないです。
確かに、こういう世界が昭和10年代にありました、
ということは感じられるのではないかと。
公式サイトの「100年先にも愛され続ける映画が、
ここに誕生しました。」というのは、大袈裟ではなく
本当にそう思います。そして、これは語り継がれて
いかなければならない日本の歴史でもあると思いました。