えこてり さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
三角関係を描いた灰色のロマンス、誰も悪くない。
某ネットTVの去年のクリスマス恋愛アニメSPが
トラどら、School Days、White Albumという悪意しか感じられない中、
以前から知人に勧められていたWhite Album2というゲームを購入、ついでアニメも一気観。
三角関係モノが好きな方で未視聴の方がおられるなら、
お勧めできると思ったのでレビューを書いてみることにしました。
あにこれの三角関係成分ランキング作品において、
マクロスFやゼーガペインよりtrue tearsや凪のあすからに近い、
というか三角関係に焦点を当てている点では凌駕している。
主人公の男性一人とヒロイン二人が登場するが、皆共通して
高校生らしい素直さがあり、若さ故の落ち度があり、そして純粋だった。
そんな3人が必然的に、確実に接近していく。
心理プロットが駆け足ながらとても丁寧に描かれているので、
登場人物の一挙手一投足から目を話せない。
これは原作者でもある丸戸史明氏がアニメでもシリーズ構成と脚本を担当しておられる事に寄るところが大きい。
原作は3部構成で本アニメはその1部しか描かれていないが、
若干の改変はあるものの原作と遜色のない、そしてある部分においては昇華された作品に仕上がっている。
一気観するのも良いが、心理プロットを映し出すカットが一瞬だったり、短い台詞だったりするので、
もし不明な行動があったら立ち止まって一考してから次に進むのも、
後半の物語をより楽しむ上で悪くないと思う。
物語には剣も魔法も一切出てこない。
ファンタジーな部分があるとすれば、
ヒロインが完全無欠の美少女で二人とも主人公に好意を寄せることになる。
という事ぐらいだがこれがないと何も始まらないので設定として受け入れよう。
しかし、主人公が両ヒロインに好かれるに足る描写が十分になされており、
何故好かれてるのか全く不明なハーレム状態という事は無いので、いくらか現実的なのではないかと思う。
というわけで、原作直後にアニメを観てしまったのでアニメ初見の感想では無くなってしまってますが、
それを抜きにしてもお勧めできる作品だと思いました。
以下、ネタバレ込みの留意点を一点だけ、
{netabare}
悪い方向へと向かっていく3人だが、それを押しとどめる可能性があるとすれば友人だろう。
雪菜の友人イオの方は、ハルキから告白されたと偽りを聞かされていた為仕方ないが、
タケヤが分からない。
ハルキが本当はかずさの事が好きだろうという事に感づいているのに、
ハルキと雪菜が付き合い始めたという事実にのみ囚われ、型にはめようとしてるようにすら見える。{/netabare}
※原作ネタバレ注意{netabare}
社会人時代で婚約前後であるなら理解できるが。{/netabare}
{netabare}
付き合う約束をしてしまったのは仕方ないが、本当の所はどうなんだよ?
といった話ができるほうが本当の友人だと思うのだが・・。
癖毛の友人チカシの方がそういう役回りを演じられたらよかったのだけどそこまでは至らず。
雪菜の方ではイオはタケヤ側だし・・。{/netabare}
※以下原作ネタバレ注意
{netabare}トモが女心の核心にせまる友人になれればよかったのだがこれもそこまでは至らず。
4gamerでの丸戸氏へのインタビューによると、
本作は社会との繋がりを明確にし、Codaでは社会との決別をとるか、
常識をとるかの選択が一つのテーマであると語っておられるので、
もしかしたら友人達を常識枠の象徴として配置しているのかもしれない。
そしてかずさルートでは殆ど全てを失う事に・・。涙
{/netabare}