「天鏡のアルデラミン(TVアニメ動画)」

総合得点
79.3
感想・評価
905
棚に入れた
5026
ランキング
511
★★★★☆ 3.7 (905)
物語
3.9
作画
3.6
声優
3.7
音楽
3.6
キャラ
3.8

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 4.5 音楽 : 3.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

頭脳戦とメイン二人の信頼関係の魅力

 原作は未読。
 個人的には面白かったが、一般的にはあまり人気が無く、更に人気がないのもなんとなく判る
作品が幾つかあるが、本作もそんな中の一つ。

 近世的ファンタジー世界を舞台にした戦記もので、戦争における頭脳戦を主体としているが、
これがかなり面白い。
 この頭脳戦だが、局所の勝敗を競う戦術的なものだけでなく、一種の政治劇とも言える戦略的
要素も加味されており、より面白さが増している。
 こういった頭脳戦ものは敵役を馬鹿に描くことで主人公側を優秀に見せるような作品も多く、
本作も士官学校時代の演習などはそんな感じ。それはそれで主人公の活躍を堪能できる楽しさが
あったりするが、本作では後半において敵にジャン・アルキネクスという切れ者キャラを登場
させることで、主人公であるイクタ・ソロークとの頭脳を駆使する駆け引きがなかなか楽しめた。

 この手の戦記ものは戦争をゲームのように捉えるエンターテインメント性が大なり小なりあるが、本作はそれだけで終わらず、戦争の悲惨さ、あるいは非情さ理不尽さなどもちゃんと描いている。
 これがヒューマニズム溢れる戦争反対、殺人反対に終始したものではなく、理想は理想として、
現実的にはやりたくなくてもやるべきことはやるといった感じのもので、全体的には大人な印象。

 惜しいのは展開的にはこれからといったところで終わりなところ。まあ話数を考えれば
しょうがないといった感じ。
 あとアニメで描写された部分だけでは精霊などのファンタジー設定部分が不明瞭かつ、あまり
活かされていない感があった。この辺はこの作品独特の部分であり、作品世界の宗教観の根底を
なすべきものゆえにもうちょっと押し出しても良かったんじゃないかなと思う。

 キャラは割と魅力的で、特にメインのイクタとヤトリシノ・イグセムが印象的。
 イクタに関しては軍人になりたくなかったが、本人のやる気とは裏腹に非凡な才能を見せてしまう
点などは「銀河英雄伝説」のヤン・ウェンリーを彷彿とさせる。
 このやる気という点で印象深かったのは、中盤におけるカンナ・テマリの出会いと別れ。
エピソード的には主筋にはさほど影響のないものだったが、イクタの自分と仲間を守るという明確な
目標を認識できたという点では結構大きな要素だったのではないかと。
 ラノベ原作としては、不倫経験もある非童貞弱年主人公というのは結構珍しいのでは?

 一方のヤトリだが、ストイックであるがそれでいて堅物といった感じではなく、微妙にさばけた
感じがいい。
 凄く聡明さを感じさせるが、自分がイグセム家の人間としてどう生きるかという点もはっきり認識
しており、この両要素がいずれ悲劇的展開を生みそうな感じがしてしまう。

 いずれも好まずとも必要とあれば躊躇なく人を殺し、それでいて無用の殺人は嫌うという、前述の
「やるべきことはやる」を一番体現していた感があったのがこの二人。
 個々としても魅力的なキャラであったが、この二人の関係性が凄く良く、その結びつきや信頼の
根底にあるものが愛情とも友情とも言えない感があり、まさに作中で語られた二人でひとつという
感じ。
 この二人、背中合わせで会話をすることが多いが、これは互いの背中を預けるという信頼性を
映像化したように思えるし、この姿勢の始まりが二人の幼い頃に起因しているのが描かれるが、
この時から二人の関係性が形付けられたことを示唆しているようでもある。

 キャラデザインに関しては野暮ったい感も。と書いておきながら、個人的にはこういうデザインは
シリアスものにはむしろ合っているとは思うけど。
 戦記ものゆえに多くの人が死ぬが、こういった殺伐としたシーンも避けることなく、ちゃんと
描いていたのは個人的には好印象。
 ただ話が動的な割に作画や演出に躍動感があまり感じられなかった。

2018/11/25

投稿 : 2018/11/25
閲覧 : 346
サンキュー:

4

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