どらむろ さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
スペースオペラ、の皮を被った中世風活劇(腐)。革命の銀河、ルネッサンス!
GONZO制作のオリジナルアニメ全26話。スペースオペラなのに中世ヨーロッパ(というかルネッサンス風)だったりする独特な作風です。
艦隊戦や戦記物の側面もありますが、それよりも愛憎劇(腐要素強い)が中心。
…万人にオススメ出来る良作かは微妙ですが、一風独特の魅力があります。
真面目にSFや戦記期待すると駄作、腐要素もネック、活劇や群像劇としてはまぁまぁ?でしょうか。
{netabare}『物語』
遥か未来、人類は巨大な島のようなコロニー「領土艦」に住み、無数の領土艦を貴族が治める、中世(ルネッサンス期)のような世界観。
人民を虐げる皇帝ヴェッティによる宇宙支配に対し、没落貴族ミシェルは人民軍を組織して交戦、劣勢の最中…一陣の風の如き男クレオがガラスの戦艦を駆り颯爽登場!
物語はミシェルとクレオ、そしてヴェッティの生き様が交差する活劇(というか愛憎劇)になっていく…。
銀河の宇宙時代なのにどう見てもルネッサンスだったり、何故か白兵戦は銃使わず剣とボウガンだったり、コンピューターはパンチカードだったり、妙にチグハグな文明水準が特徴。
レトロフィーチャー…とも違う、宇宙艦隊戦なのにビーム使わず実弾の大砲撃ち合ったり、宇宙でも何故か息が出来たり、他にもSFとしてはシュールなツッコミ所満載。
…まあ、アニメですし、こーいう世界観なんだなー!と割り切るべし。
こういうフリーダムさもまた、アニメの面白さと思う。
戦記としては、当時最新のCG使った大規模艦隊戦を見せてくれるものの、大味で期待薄。
銀河を二分する抗争劇も経済貴族との交渉などたまに見所はありますが、本筋ではない。
戦記よりも、無双活劇寄り。
ガラスの戦艦による無双はムチャクチャながら、かなり痛快ではあります。
主にミシェル、クレオ、ヴェッティ(を慕うショタのラルフ)による愛憎劇で、運命的な邂逅(というかご都合展開)で頻繁に剣を交えたり(宇宙時代なのに…)しつつ、後半は教皇の娘なヤンデレも加わり、昼ドラめいたドロドロ感強し。
クレオを慕う少女アイメルの個別回は、もっと早く見たかった。
ミシェルが気儘なクレオに反発→次第に惹かれていったり、ヴェッティは完全にホモだったり…。
後半にクレオの出自やガラスの戦艦、銀河の秘密(黒十字による滅びの運命云々)が明かされつつ、ようやくクレオに目的意識が芽生え始める(遅い)。
ミシェルとクレオが別行動の個別回の方が面白い感じ。
終盤怒涛の展開…なようでいて、在庫処理のようにキャラ退場するのが勿体ない。
クレオとヴェッティのラストバトル→和解?の流れも、どうにも不自然で釈然としないです…。
総じて、スペースオペラの皮を被った群像劇&昼ドラでした。
終盤までは悪くないのですが、終盤雑なのが惜しいです。
ヴェッティの執着劇に尺割き過ぎ、ミシェルとクレオのロマンスの方を見たかったです(終盤はその面では中々でしたが)。
『作画』
朝日放送初のハイビジョンアニメ、GONZOによるCG作画は今見ても中々。
やや古いCG然とした所はありますが、大規模艦隊戦やガラスの戦艦無双、剣の殺陣シーンの迫力など、見所十分。
なんちゃって宇宙とルネッサンス風味な描写も。
キャラデザは、まぁまぁ。十分美男美女揃い、ラルフ君が一番かわいい。
『声優』
クレオの津田健次郎さん、ミシェルの甲斐田裕子さん、そしてヴェッティの石田彰さんいずれもはまり役。
釘宮理恵さんのショタ美少年も素晴らしい。
柚木涼香さんのヤンデレも迫真でした。
『音楽』
主題歌はまぁまぁ。ルネッサンスっぽいBGMはかなり良かったです。
『キャラ』
自由気ままなクレオは英雄の気質十分でしたが、後半まで目的意識が見えないのが残念。
ヴェッティはまさに覇道を往く覇王の資質十分なんですが…男しか愛せぬ困った人であった。
中盤以降とある事情で追い詰められて精神的に余裕が無く、悪と言うよりも気の毒な印象が。
メインヒロイン・ミシェルが一番主人公していた。女バレした後の葛藤→終盤の可愛さが良い。
途中離脱期間が残念。
クレオのクルーたちが個性派揃いで中々、紅一点なアイメルは強制労働回から魅力発揮。
ホモなヴェッティに翻弄されヤンデレ化するレイチェルかわいそう、ある意味正統派のヤンデレだなぁ。
一途にヴェッティ様を慕うラルフ君が健気で一番かわいいです。
ヴェッティの部下のふたり(ジラート&コンラート)も非常に有能なのが良い、本作が本格戦記じゃないのが惜しまれる。
クレオの師となったガウェイン提督かっこいい。
彼の指揮回は唯一戦記として良かった。{/netabare}