STONE さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
ロボットチャンバラ劇
基本的シチュエーションや一部のキャラなどは「新世紀エヴァンゲリオン」の影響を
受けているような印象。ただ、他のエヴァの影響を受けた作品のような鬱的要素はあまりなく、
ストレートな娯楽作品といった感じ。
逆にこの作品の独自性という部分では、主人公である青馬 剣之介が現代に蘇った侍であると
いう点に尽きるのかなあ。この剣之介に代表される侍、戦国時代といった要素とロボットものの
組み合わせがなかなかいいケミストリーを生んだ感じ。
ストーリーの基本的な流れは地球外の侵略者からの防衛という割とシンプルなものだが、
話が戦国時代から現在に繋がるもので、更に剣之介の記憶が断片的なこともあって、「過去に
何があったのか?」というミステリー要素を生み、これが現代の展開にも反映されてなかなか
飽きさせない。
このメインストーリーやバトルの合間に挟み込まれる日常部分はP.A.WORKSの本領発揮と
いった感じで、高校を舞台にした部分などは剣之介ともう一人の主人公である白羽 由希奈を
主軸とした学園ラブコメといったところ。
メインストーリーの重要な部分である戦国時代・侍などといった要素は、日常パートでも
剣之介の時代錯誤な部分がコメディ要素としてうまいこと活かされており、更に剣之介が
現代文明に次第に馴染んでいく様も面白い。
他にも白羽家のホームコメディ的部分や荻布 美夏のちょっとエロいコスプレネタなど、
全体的にコメディ要素が強い日常パートだが、単なる幕間の笑いどころというだけではなく、
メインストーリーへの補完や伏線としてもうまいこと機能している。
裏テーマと言うか、キャラクタードラマという部分では少年少女達の自分の進むべき道探しと
いうものがあるようで、由希奈を始めとする現代の高校生達の進路の問題もあれば、剣之介の
ように侍が現代でいかに生きるべきかといった部分、あるいはムエッタのように自身の真相を
知った者の新たな居場所探しといった部分もある。
初回で特に目的もなく火星に行きたがっていた由希奈が、最終話において恋愛メインとは
いえ、確固たる意志を持って火星に行くのはその象徴といった感じ。
ロボットバトルの方は飛び道具が通じない設定で、要はロボットがチャンバラをしているが、
これが重量感を感じるなかなかいい殺陣。
本作のロボットであるジオフレームだが、個人的には機械らしい無骨なものが好きなので、
割と好きなデザイン。
クロムクロやGAUSなどの地球側のジオフレームは復座式であるため、各機のパートナー
同士の関係性がキャラクタードラマとしてもいい味を出している。特にクロムクロの剣之介・
由希奈コンビは、巻き込まれる形で搭乗することになった由希奈が次第に戦闘に貢献していく
過程はなかなか頼もしいところ。
地球より高度な文明を相手にした作品は主人公機頼みになってしまうものが多かったり
するが、クロムクロ以外も性能の劣る部分を工夫して活躍する展開は個人的には嬉しいところ。
派手な飛び道具がないなど系統としてはリアルロボット系なのだろうが、随所随所にスーパー
ロボットへのオマージュを感じるシーンがあるのも楽しい。エフィドルグの先遣隊の描写などは
最近のロボットものに較べて、古臭い感もあるいかにもな悪の組織?といった風だが、これも
往年のスーパーロボットもののオマージュだったのかな?。
深いテーマ性を持った作品ではないが、ストーリー、キャラ、作画など色々な部分で隙が
なく、かなり良く出来た印象の作品。