STONE さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.5
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
昭和の青春ドラマの波動を感じる
原作は未読。
映画「ウォーターボーイズ」などもそうだったが、一般に女子、あるいは男女混合で
やるものという認識のモチーフを男子がやるだけで充分個性的なものになるが(逆もまた
然りだと思うけど)、本作におけるチアリーディングもそんな感じで、そういった面白さは
充分に表現されていたように思える。
男子のみと言うと、BLっぽさを感じさせたり、そこまでいかなくても妄想を掻き立てる
ような描写がある作品が最近は多かったりする。
本作も多少そういった要素はあるものの、それより男性から観てリアリティを感じるような
キャラ同士の距離感など、全体的に友情の色が濃い正統的な青春スポーツものといった印象が
強い。この辺は原作者の朝井 リョウ氏が男性であるということは大きいのかもしれない。
特に友達を思って号泣したり、「バカヤロー!」と叫ぶシーンなど、昭和の青春ドラマ的
色合いを強く感じる。
BREAKERSのメンバーが最終的には16名になることでそれなりにキャラ数は多くなるが、
それぞれがあまり埋もれることなく、それなりに存在感を出していたが、この辺は中心となる
坂東 晴希と橋本 一馬だけでなく、他のメンバーの解決すべき問題などもちゃんと描いていた
ことが大きいみたい。
このそれぞれの問題点に関して、直接チアリーディングに結びつくものとそうでないものとが
あるが、いずれも克服すべきものという点ではチアリーディングの課題と共通しており、
テーマ性という点で、問題点とチアリーディングはうまくリンクしていた感があある。
また問題解決に当たっては他のメンバーの応援が大きく、この応援という点もチア
リーディングの精神性を見事に体現していたような。
主筋とは別にキャラでいい味を出していたのは溝口 渉の変な空気感で、中の人の
杉田 智和氏の演技がよりキャラを光らせていた感があった。
ストーリー的にはチーム結成から全国大会出場までとスポーツものの王道といった流れだが、
惜しいのは小エピソードの連続みたいな展開だったため、全体の感じがやや平坦な印象だった
ことと、作画にあまり躍動感が感じられなかったこと。
いわゆるヒロイン的存在に関して、中盤までは酒井 千裕が晴希との交流からメイン
ヒロインかと思いきや、BREAKERSの遠野 浩司の彼女だったというとんでもないオチで、
いわゆるコメディ要員だったと。
自分が男性で女の子が好きであるため、可愛い女子キャラが出てくるのは基本的には
嬉しかったりするが、それでもメイン視聴者層を女子に置いて、意図的にBLっぽい描写を
しているような作品は、別に女子キャラは要らないなと思う。
ただ、本作に関しては前述の晴希と千裕のやり取りをなまじ観てしまったのと、本作の男子
キャラがそれなりにリアリティを感じるためか、若い男子の関心という意味でもっと
ストーリーに絡んでくる女子キャラが出ても良かったかも。