hamasan さんの感想・評価
3.4
物語 : 2.5
作画 : 5.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 2.5
状態:観終わった
いろんなアニメマンガの原点
いろんなアニメの評判を聞いていくと、絶賛の嵐で埋め尽くされている作品のひとつにAKIRAがある。
海外のレビューサイトではトップ常連だし、2020東京五輪を的中させたという神がかりもあるし、10億かけた作品の作画は88年とは思えないクオリティを保っている。
しかし今のアニメに慣れ親しんだ自分のような人間が鑑賞すると、この作品のもつ古典的な重要性は理解できるけれど物語として面白いかというとそうでもない……というのが素直な感想。
今鑑賞すると面白くないと感じてしまう理由はたぶん2つある。
ひとつはAKIRA以後の作品がみんなAKIRAのオマージュをどこかしらで使っていて、AKIRAそのものがもつオリジナリティや魅力というものを細切れにして消化しやすいように提示してくれているので、オリジナルを見るまえから古さを感じてしまうところ。
もうひとつはこの作品の重点がいったいどこに置かれているのかが明確でないところ。
キャラクターは表題の「アキラ」、トリックスターの「鉄雄」、主人公の「金田」というように主人公格が最大三人も存在しており、ストーリーは子どもの葛藤や感情が世界の趨勢に直接影響を与える「セカイ系」の原型のようなものではあるがパッとしない。
ジャンルでもブレードランナーのようなディストピア風のSFアニメかと思いきや、正真正銘の超能力が中心に据えられているなどイマイチ筋が親しみづらく、全てに微妙なマイナスポイントがついている。
しかしその雑多さがかえってAKIRAの描く都市風景とマッチしていて、今のアニメが持っていないとめどなく溢れるパワーを表現できているのは事実で、それを踏まえて鑑賞すればこの作品の持つ魅力にあらためて気づくことができる。