STONE さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
払拭されたこじんまりさ
1期の主要メンバーはほぼ継続。加えて新メンバー追加とよくある2期もののパターン。
ただ、立ち位置が変わったメンバーも多く、特に都知事になった稲城 光太郎の存在は
大きい。1期でも政治的協力者といった色合いが強かったが、それが都知事になったことで更に
頼もしさが増し、と思っていたら本作の敵だったというなかなか面白い展開。
1期の頃から裏で色々と動いていたことを考えると、改めて1期を視聴するとその発言や
行動がなかなか興味深い。
稲城がクローズアップされたことで必然的に描写の比重が増えた感があったのが、彼と親しい
関係にあった山吹 凛と黒騎 猛。黒崎が割と感情的に反応してしまうのに対して、山吹は冷静な
態度を貫くという対称的な対応が面白い。特に可愛らしい容姿と声に相反するように、感情を
殺すかのように職務に忠実に対処していく山吹はやはりボスだなあという思いが。
もう一人ストーリー的に大きかった感があったのが1期の敵であったミュトス。
実はミュトスという存在は、国家権力に一人で対峙する天才ハッカーという点で、
「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」の笑い男に類似性を感じていたが(パクリ
うんぬんを言う気はないです)、笑い男に関しては2期で公安9課に捜査協力をしていたら?と
考えることがあり、本作におけるミュトスの立ち位置はそれを体現したような楽しさがあった。
ストーリー的に大きかったのが稲城、ミュトスなら、コメディ的に大きかった感があったのが
第九係に移籍した花咲里 あさみ。1期でも彼女の空回りっぷりやポンコツ振りがなかなか
楽しませてくれたが、第九係のボスになったことで更に暴走していく様は見どころの一つと
いった感じ。
他には瀬名 颯一郎と天野 円が民間人になったが、民間協力ゆえの利点が活かされている
ことが多く、官民一体の強さが感じられた。
一方、新メンバーはエミリア・エデルマン、鏑木まりもと賑やかさは増したが、1クールで
内容がテンコ盛りのため、あまり彼女達は活かしきれなかった感があった。
1期はまとまりがあるもののこじんまりとした印象があったが、本作はだいぶ吹っ切れた
印象で、1期には足りなかった勢いを感じた。特に前述の花咲里の暴走に代表される
ハチャメチャ振りが楽しい。
ストーリー的にはこの勢いが次第に増していく心地良さがあり、ラストの全員の協力で黒騎を
宇宙に送る展開などはベタだが燃えるものがある。
基本的には全員無事で、稲城の野望も阻み、更に1期では取り逃がしたバードも逮捕という
溜飲を下げる展開。最後に瀬名の「お疲れ様でした」で終わるという、脱力するような締めも
楽しい。
もっとも1クールで消化しきれなかった部分も感じられ、黒騎の未遂に終わった記憶移植も
なんらかの後遺症がありそうな不安な描写をしておきながら、結局は何事もなし。
エミリアのウィルウェア恐怖症克服の流れもやけにあっさりした感が。
1期ではどういう扱いなのか謎だったスリ少女だが、最後に至ってバードのパートナーで
あることが判明して、更に彼女の存在がバード逮捕に繋がるというキーマン振りを発揮。
そういう点では毎回顔を出していたのは、1期1話から連なる大きな伏線だったわけで、
ちょっとした驚きがあった。