kurogoma さんの感想・評価

3.1
物語 : 1.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 2.5 状態：観終わった

う～ん

正直、自分に合う作品ではありませんでした

クズやゲスばかりというのは中々新しく、面白いと思いましたが、ただ露悪的なだけでユーモアや面白味は感じられませんでしたし、
この作品での仕事感のリアリティの無さがノイズになってしまい、いまいちこの作品にのりきれませんでした。

自分はアニメや声優業界に詳しいわけではありませんが、それでも、
売り上げが振るわなかったＤＶＤの特典に主演声優の水着特典は流石にありえないと思いました。
だって、そんな売れないＤＶＤの特典なんかにするより単品の写真集なりを出した方が利益になりますから
事務所がＯＫを出すとは思えませんし、仕事してお金をもらってる社会人を主軸にしているのに
遅刻をしたばかりか謝罪もせず受け入れられるなんて、とてもじゃないがそんな仕事観は受け入れられませんでした。

あと、この作品におけるラノベやラノベ作家への扱いも流石にどうかと首を捻るばかりです。
この作品で冷遇されている異世界転生系ラノベアニメですが
昨今では「Reゼロ」や「オーバーロード」、古く遡れば「ゼロの使い魔」などヒット、人気作が多く
あそこまで言いたい放題言われる謂れはないと思うんですが。
作中での、ラノベ作家へのあからさまな冷遇表現に対して渡氏の自虐と受け取る人がいると思いますが
作中でひどい目にあったり酷評されたりするのが渡氏本人だったり、明らかに俺ガイルをモデルにした作品だったり 、
渡氏がラノベ業界において手塚治虫レベルの権威だったり、渡氏が異世界転生系ラノベを書いたりしてない限りは
自虐と言われてもう～んという感じでした。

この業界の描き方についてもなんだかなぁという感じで
「ＳＨＩＲＯＢＡＫＯ」みたいに業界に対する理解を深めるという効果も
意図的な冷遇やリアリティの欠如のせいで感じられず、
「アオイホノオ」のように多大なリスペクトを持って作られたとも思えず
モヤモヤとした感じだけが残りました。

最後にキャラクターの掘り下げ配分ですが、これもバランスが悪かったのではないかと思います。
クズＰにはコメディリリーフとしての役割があるのは解りますし、勝っている部分があるのも認めます。
ですが、どう考えても、八重や京や七海の掘り下げを削ってまで描写する程の魅力があるキャラには見えませんでした。
必要性に疑問が残るキャバクラでの挫折や、釣り堀りでの意味不明な再起に何の意味があったのでしょうか。
そもそも、クズＰは「ＳＨＩＲＯＢＡＫＯ」でいうところの茶沢以上の悪人のはずなのに
罰を受けたり、因果応報的な目にあったりせずになあなあの甘やかしで終わったのは倫理的にどうなのかと思わずにはいられませんでした。
あと、修造出した意味は何だとか悟浄と京の同期話は何だったんだとか
言いたいことはまだたくさんありますがこの辺にしておきます。

　総評　　
漫画や原作のライトノベル版みたいに千歳視点の声優モノか
修羅みたいに完全不条理ギャグだったら多少の不備や違和感も飲み込めるが
今日日、「ＳＨＩＲＯＢＡＫＯ」というお仕事ものの巨大な比較対象が存在し、現代社会を舞台にして、業界批判を含んだ作品が穴だらけだとこうなるといういいサンプルケースにはなったと思う。
と、ここまで、延々と文句ばっかたれてきましたが
作画はここ数年では抜群に綺麗な方だったし、
ヒロイン達も可愛く、キャラの生き生きとした感じや、
特に、千歳の無邪気な部分や図太い所は素直に魅力的だと思いました。
自分には合わなかったものの、一見の価値はある作品です。