STONE さんの感想・評価
3.1
物語 : 2.5
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 2.5
状態:観終わった
何かが足りない
原作は未読。
メインモチーフは野球だが、野球それ自体は主要キャラの共通項となる舞台装置に過ぎない
ようで、試合描写はほとんどなく、その勝敗もあまり関心がないような描き方。
当然、スポーツものにあるようなカタルシスは無く、むしろ部活の嫌な面だけが印象に残る。
結局、描きたいのは主人公である原田 巧を始めとする10代の少年の心情の方みたいで、そういう
意味ではスポーツものではなく、青春ものの範疇の作品なんだろうなと思う。
この手の作品は事象そのものより、それに対するキャラの心情といった行間的なものの方が大事
だったりするのだが、演出や原作からの取捨選択が良くなかったのか、ただ事象のみの描写に終始
していた感が強い。
そのためストーリーの流れ自体に不明瞭なものはなかったが、それに対する少年達の発言や行動は
判りづらいものが多かった。
この辺はモノローグ描写が少なかったのが大きかったように思えるが、見方によっては「大人から
見ると何を考えているのかよく判らない10代」みたいなものがリアルに感じられる演出とも
取れるかも。
結局、少年達の頑なな面のみが強調されているようで、10代特有の不安定さが生む多面的な
ものが感じられなかったのが残念。
いきなり時間が経過するのも戸惑いの元で、雰囲気は嫌いではないが、何かが足りない感が
最後までつきまとう。
女子が母親キャラしかおらず、出てくるのは男ばかり。
その分、萌え役といった感があるのが巧の弟の青波。素直な性格、病弱な体など巧とは対照的な
キャラで、うまく使えば巧との対比でかなり重要なキャラにできそうなのだが、結局は
ストーリーにはさして絡まず、単なるマスコットキャラで終わってしまったのが勿体ない感じ。
主題歌に関して、OPとEDのいずれもanderlustが担当。
以前「神様ドォルズ」のレビューで、「OPとEDを同じアーティストが担当することで、作品
独特の空気感を持たせるのに非常に役立っていたように思える」と書いたが、本作も同様の感覚が
あった。
2019/01/22