DEIMOS さんの感想・評価
4.2
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
アニメの良さを最大限生かした名作。
正直全く期待をせずに観たのだが、良い意味で期待を裏切られた作品。
吉浦氏の作品は、イヴの時間、ペイルコクーンを見てきて、過去どこかで描かれてきたSF作品をちょっとリアルに再構成する人、くらいのイメージを持っていたが、この映画では、全く新しい試みに挑戦している。
その設定は、「重力が逆転した世界との交錯」。
この設定が極めて巧みに機能している。過去にアニメでは描かれていなかった斬新な取り組みだろう。アクションゲームでは、重力が逆転するものがあったが、確かにアニメではなかった。これは盲点。この世界観は、アニメでしか描けない。活字や漫画ではなく、アニメという媒体だからこそ新たな価値を生み出している。
2時間の長編映画ながら、30分おきに予想を裏切る展開を繰り広げることで、途中で飽きることがない。
作画は劇場作品としては標準的なレベル。ストーリーは、陳腐な少年と少女の出会いと冒険、悪との対峙、と斬新さはない。それでも、世界観が新しければ、それらも克服できる面白さを生み出す。SFは、「斬新な設定を一つ」入れることが重要、という教訓を得られる。