「甲鉄城のカバネリ(TVアニメ動画)」

総合得点
87.5
感想・評価
2079
棚に入れた
10070
ランキング
150
★★★★☆ 3.8 (2079)
物語
3.5
作画
4.1
声優
3.6
音楽
3.9
キャラ
3.6

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 3.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 3.0 状態:観終わった

主人公は誰?

 和風スチームパンクにゾンビ要素を絡めるという設定や世界観はなかなか魅力的だった。
 閉鎖的状況で絶望感漂う雰囲気などは、同じWIT STUDIO制作の「進撃の巨人」に通じる
ようなものがある。ただ、こちらはその閉鎖的状況である甲鉄城が動く存在であるという
ところが「進撃の巨人」と大きく異なるところ。それにしても線路のインフラ整備などどうして
いるんだろう?。

 ストーリーの中心となるのは生駒と無名の二人のカバネリで、人間と主たる敵である異種との
中間的存在が主役という点で、「デビルマン」やアメコミの「ブレイド」なんかを思い出した。
 このカバネリという立場はカバネと戦いつつも、人間には信用されないという点で、二つの
敵がいるような状況。
 前半はカバネリが人間の信頼を得るための戦いといった感じだったが、ここでのキャラは
ストーリー上のトラブルを作るためにわざわざ誤解されるような行動を取っているような感が
見受けられた。
 キャラに関しては全体的に良く言えば王道、悪く言えば古臭い印象があったが、最近の殺伐と
した作品は主人公サイドも狂気やダーティーな要素を持つキャラが多かったりするので、余計に
そう思ったのかも。

 そして、中盤以降は天鳥 美馬が登場して、彼が主敵になっていく。
 この展開に関してはネット上の感想を見るに否定的な意見が多く見られたが、個人的にも
これで凡庸な作品になってしまったかな、と思う。
 倒すべき相手が美馬にシフトしたことによって、カバネが完全に舞台装置になってしまい、
更に美馬率いる狩方衆がカバネを相手に優位に戦いを進める存在だったゆえに、カバネに対する
脅威さえ薄れてしまった。これが鋼鉄城、美馬、カバネの三つどもえの展開だったら、また
違った印象を持ったかもしれない。

 これは想像だけど、後半の扱い方を見るに、シリーズ構成・脚本の大河内 一楼氏にとっては
美馬は生駒と無名以上に重要なキャラなのかなという気がした。
 同じく大河内氏が手掛けた「コードギアス 反逆のルルーシュ」もルルーシュが父を倒す
ような展開になるが、それ以外の作品を観ても父あるいは大人といった父性的象徴に対する
反抗が大河内氏の個人的テーマなのかな?という印象があり、結局は自身の思い入れのある
キャラを裏主人公にした滅びの美学みたいなものをやりたかったのかな?という感がある。

 美馬に関して、ストーリー的には面白みを損ねてくれた感があるが、作品全体に渡る恐怖と
いう要素を考えると興味深いキャラ。
 彼は自身を恐れる父の天鳥 興匡やカバネに対する恐怖に怯える民衆を忌み嫌うが、部下の
滅火に看破されたように根は小心者で恐怖に怯えており、表面上はそれを覆い隠そうとしていた
ようである。
 そういった描写が随所に見られたが、結局は彼の父や民衆に対する感情は一種の同族嫌悪
なのかなという気がする。
 それゆえに過去の後悔から恐怖を乗り越えて、カバネや自身に立ち向かう生駒には複雑な
思いがありそう。

 作画、音楽などは最後まで素晴らしかった。

2018/08/26

投稿 : 2018/08/26
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サンキュー:

3

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