jethro さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
前二作にモノローグがなかった理由がここにある
毎回、初日初回に見ていましたが
今回はシネコンの劇場ローテーションで最も大きいスクリーンでの上映が
夕方からの回だったので、3部作ラストということもあり
でっかいスクリーン優先で初回を敬遠しました。
さて、ついにラストとなった傷物語
前作ラストのギロチンカッター戦が、あまりにもダイジェストでしかも
大きく原作と異なっていたため
バトルのメインは、
この3作目で、のっけから、バトルスタートを期待していた身としては
大きな肩透かしをくらいました。
かといって、失望したわけではありません
つまりは、このあと描きたいものが大きすぎて
ギロチンカッター戦を体良く割愛しただけの話ですから
所詮バトル、引き継ぐべき必要要素さえ提示しておけばokです。
今回の傷物語では、たんまりねっちりやってもらわなくてはならないシーンが
目白押しなわけで、そういう意味で
ギロチンカッター戦は取るに足らないものでないにせよ
限られた時間の中では割愛候補になっても十分納得できるものでした。
原作既読者としてとにかく外せないのが
体育倉庫のシーン、そしてラストのキスショットとのバトル
これさえやっておけば、8割がた成功したといっても良いと思います。
このあたりの力の割り振り加減が今回最高に素晴らしかった
人によっては、体育倉庫シーンに異論を唱える人もいるとは思いますが
羽川翼と阿良々木くんの関係性を描く上で(今後の展開も含め)
どーしても必要なシーンなのです。
ねちっこい必要があるのです。
個人的な感想なのですが
戦場ヶ原さんが恋人ならば
羽川さんはきっと恋人以上の存在
そしてキスショットは家族以上の血のつながりの存在なのでしょう
恋人以上のひとの「おっぱい」はやはり触れないわけです。
こんなひどく深い人と人とのつながり
「どんな形のつながりなのか」がとても重要な物語なのです。
不思議なもので、このつながりが歪であれば歪であるほど
見るものの心をぐわっしっと掴んでしまうわけで
歪さ極まる、羽川さんとキスショット両人が揃うと
これはもう、好きな人にとってはたまらないわけです。
単なる行きすぎたイチャラブにすぎないと言われればそれまでなのですが
厨二っぽかったり、ロリ要素があったかと思えば巨乳対決までやってのける
思春期の頭お天気な若者たちのおバカな青春って言ったらいいのでしょうか
リアルな社会で濃い人間関係から逃避している自身からしてみれば
こんな濃い人間関係が、逆に羨ましく思えてしまうスゴさ
モノローグを排除していた前二作と違い、本作にはモノローグが存在します。
そして、
それこそが、
何故、前二作ではモノローグを排除していたのかという答えにもなっています。
地下鉄で手足を切断されたキスショットをなぜ助けたのか?
キスショットはなぜ助けを求めたのか、
物語のラストに怒涛のように押し寄せるその答えに思わず嗚咽
本作が完成するまでの道のりはとても長く
一ファンとしても完成を危ぶんでいました。
でも、こうやって作品を最後まで見れて、本当に良かったです。
スタッフの皆様に本当に感謝です。
最後までがんばって完成させてくれて、そして公開してくれて
本当にありがとうございました。