STONE さんの感想・評価
2.9
物語 : 2.0
作画 : 3.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
色々な部分をもっと作り込んでほしかった
コンセプト的には海のガールズ&パンツァー(以後ガルパンと表記)的なことをやろうと
したんだろうけど、女子キャラ主体で萌え要素強めでありながら、それでいて戦闘はガチという
無理が最後まで消化しきれなかった印象。
ガルパンの場合、戦車道といううまい設定を見つけられたが、それに匹敵するようなものが
本作からは感じられなかった。
内容的には結構シリアス展開だったが、作品の明るいテイストが緊急時にまで漂っていて、
最後まで緊張感が感じられなかった。
これがガルパンの戦車道のような競技や、「ソードアート・オンライン オルタナティブ
ガンゲイル・オンライン」のようなゲームなら気にならなかったのだろうけど、実弾飛び交う本当の
砲撃戦でこの空気感はなあ、という感じ。
「キャラの何人かが死ねば」とまでは言わないが、それでも多少の負傷ぐらいはあっても
良かったんじゃないかと思う。
このシリアス要因も序盤はサスペンス要素で盛り上げた割には「RATtウィルス」という気抜け
したオチ。おそらく特定の悪役を作りたくなかったためなのかなあ。ちなみにネットでは深読み
したような考察が色々と出ていたが、そっちの方が真相としては面白かったりした。
設定、世界観も練り込み不足の印象。
フィクション作品のこういった要素は創作時には「こういう状態にしたい」という結果ありきで、
そうするための後付けであるのが大半だと思う。
ただ、実際に出来上がったものはこういった設定、世界観のためにこういう状況になったと
思わせる必要があると思うのだが、本作はそれがうまくいっていないようで、「第二次世界大戦相当
(本作では起きてないんだよね)の軍艦を現代に動かしたい」、「現代では難しい軍艦対軍艦の
砲撃戦をやりたい」、「キャラ設定の関係上数十人規模で軍艦を動かしたい」といったメタ的な
思惑が見え見えで、それを納得させるだけの設定、世界観になっていないように思える。
キャラも個人的にはあまり魅力を感じられなかった。
中心となる晴風クルーだが、何十人もいる割には多くがストーリーにうまく絡んでいないために
印象が薄く、逆にべらんめえ調や広島弁などの口調によるキャラ付けが小手先だけのものに思えて
しまう。
主人公の岬 明乃だが、初後悔で初艦長ということで、行動を通してクルーの信頼を得ていく
必要があるのだが、作中での行動がそれに足るようには思えず、どうしてクルーが支持するように
なるのかが最後までピンと来なかった。
更に明乃の場合、自身が未熟であるがゆえに自身も成長を遂げていくが、この成長を促す幾つかの
事象に対する行動や態度も曖昧に終わるものが多かったように思える。
一種の対立軸とも言える宗谷 ましろとの関係性も、対立と和解をもっと明確に描いても良かった
ように思える。
こういったキャラクタードラマの曖昧さは展開はシリアスながら、緩い空気感も
保ちたかったので、あまりギスギスしたり、ドロドロしたくなったためなのだろうか?。
なんかマイナス点ばかり書いてしまったが、美少女と軍艦という基本コンセプトは悪くないし、
戦闘作画も良かった。キャラクターデザインも可愛かった(ストーリーには合っていなかったとは
思うけど)。
そういう意味では色々と勿体ない印象が強い作品。
2018/10/13
2019/03/14 誤字修正